俺の実家には、一体の古い日本人形があった。
黒髪に白い顔、赤い着物をまとい、硝子ケースの中に収められていたその人形は、幼い頃から妙に怖かった。
「これ、誰の人形なの?」
祖母に聞いたことがあるが、はぐらかされるばかりだった。
しかし——俺が高校生になった頃、ついにその秘密を知ることになる。
目次
「夜中に動くんだよ」
夏休み、俺は久しぶりに実家に帰省した。
夜、何気なくリビングに行くと、妹の菜月がポツリと言った。
「お兄ちゃん、あの人形……夜中に動くんだよ」
「は?」
「昨日、夜中に目が覚めたら、あれ、ケースの外に出てたの」
「そんなわけないだろ。誰かが触ったんじゃないのか?」
「違うの……朝には元に戻ってたから……」
それを聞いて、ゾクリと背筋が冷えた。
だが、まさか本当にそんなことがあるわけがない——そう思っていた。
その夜までは。
動く人形
夜中の3時過ぎ、喉が渇いて目が覚めた。
水を飲もうとリビングへ行くと——
ガタ……ッ
人形のケースが揺れた。
「……!?」
気のせいか?
恐る恐る近づいてみると——
人形の顔が、明らかに違う方向を向いていた。
まるで、俺の方を見ているように。
全身に鳥肌が立った。
「……気のせいだ、寝よう……」
そう思い、部屋へ戻ろうとしたその時——
カタ……カタカタ……
ケースの中で、人形の首がゆっくりと揺れた。
「っ……!」
怖くなり、その場を逃げるように離れた。
祖母の告白
翌朝、俺は祖母に問い詰めた。
「あの人形、何かおかしいよな?」
すると、祖母は重いため息をついた。
「……やっぱり、気づいたか」
「やっぱりって、どういうこと?」
祖母は静かに語り始めた。
あの人形は、元々"姉"のものだった、と。
「お前には話してなかったけど……お前が生まれる前、この家にはもう一人、娘がいたんだよ」
俺の母には姉がいた。
だが、小さい頃に原因不明の病気で亡くなったらしい。
「あの人形はね……その子がずっと大事にしてたものなんだよ」
そして——
その日から、人形の"異変"が始まったという。
「まるで……あの子の魂が宿っているみたいでね」
祖母は悲しそうに言った。
「だから、粗末にはできなくて……ずっと置いてるんだよ」
その夜
その話を聞いた夜、俺は寝つけなかった。
そして、深夜3時。
ふと目を覚ますと——
目の前に、人形が立っていた。
ケースから出て、俺の方をじっと見ていた。
「……お兄ちゃん」
耳元で、小さな女の子の声がした。
その瞬間——俺は意識を失った。
朝、そして——
翌朝、俺はベッドの上で目を覚ました。
「……夢だったのか?」
だが、視線を感じて振り向くと——
人形の口元が、微かに"笑って"いた。
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