目次
序章──消えた子供時代の記憶
会社員の「相川優斗」は、ある日、実家の片付けをしていると、古びたアルバムを見つけた。
ページをめくると、小学校時代の写真が並んでいる。運動会、遠足、教室での集合写真──懐かしい思い出が蘇る。
しかし、一枚の写真を見た瞬間、優斗は違和感を覚えた。
クラス写真の端に、見知らぬ男の子が写っていたのだ。
「……誰だ、この子?」
彼の記憶の中には、その少年の姿はまったくなかった。
しかし、不思議なことに、写真の中の優斗は、その少年と仲が良さそうに肩を組んでいた。
「こんな子、いたか……?」
記憶をたどろうとすると、ふと、子供の頃の「かくれんぼ」の記憶が蘇った。
第一章──消えた「コウスケ」
優斗が小学生の頃、放課後になると決まって友達と「かくれんぼ」をしていた。
そして、なぜかぼんやりと、「コウスケ」という名前が頭に浮かんだ。
「コウスケ……?」
その名前に聞き覚えがあるような気がするが、具体的な顔や声は思い出せない。
ただ、一つだけはっきり覚えていることがあった。
──コウスケは、かくれんぼが異常に上手かった。
どれだけ探しても見つからず、最後は誰も諦めてしまう。
「コウスケ、もう出てきていいよー!」
そう呼びかけても、彼はなかなか姿を現さなかった。
「まだ隠れてるのかな?」
そう思って家に帰ると、次の日には何事もなかったかのように、またコウスケは学校にいた。
……でも、よく考えてみると、その後の記憶がまったくない。
彼は、どうなったんだ?
第二章──誰も覚えていない友達
不安になった優斗は、昔の友人たちに連絡を取ってみた。
「なぁ、小学校の時にコウスケっていたよな?」
しかし、誰も覚えていなかった。
「コウスケ? そんな奴いたっけ?」
「お前、誰かと勘違いしてるんじゃないか?」
どれだけ聞いても、コウスケを知る者は一人もいなかった。
でも、アルバムには確かに写っている。
「……どういうことだ?」
不安になり、再びアルバムを確認すると、今度はもっと奇妙なことに気がついた。
──コウスケの顔が、少しずつ薄くなっている。
最初に見た時よりも、写真の中の彼はかすれていて、輪郭が曖昧になっていた。
まるで、少しずつ「消えていっている」ように。
第三章──最後のかくれんぼ
ある夜、優斗は夢を見た。
それは、子供の頃にしていた「かくれんぼ」の夢だった。
夕暮れの校庭、誰かが「もういいかい?」と聞いている。
「もういいよ」
そう答えると、どこかから足音が聞こえた。
そして、古びた校舎の陰から、ぼんやりとした姿が現れた。
──それは、コウスケだった。
「優斗……やっと見つけてくれたね」
彼は嬉しそうに笑った。
「俺、ずっと隠れてたんだ。でも、みんなが帰っちゃって、誰も探してくれなくなった」
「やっと……やっと、見つけてくれた」
コウスケが手を伸ばす。
「今度は、お前の番だよ」
その瞬間、優斗は目を覚ました。
汗びっしょりだった。
時計を見ると、深夜2時。
夢だったのか……?
しかし、デスクの上に置いてあったアルバムを見て、彼の心臓は止まりそうになった。
そこにあったクラス写真から──コウスケの姿が完全に消えていた。
まるで、最初からそんな子はいなかったかのように。
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