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雪かきの順番──消えた隣人の秘密 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章──雪の町の習慣

地方の寒村に引っ越してきた「佐々木誠」は、町の独特な習慣に驚いた。

──住民が交代で「夜中に雪かきをする」というルールがあるのだ。

昼間の雪かきなら分かるが、なぜわざわざ夜中に?

不思議に思ったが、地元の人々は理由をはぐらかし、「決まりだから守ってくれ」と言うだけだった。

「まぁ、田舎のルールなんてそんなもんか」

そう思い、佐々木は深く考えなかった。

しかし、この「雪かきの順番」が、後に恐ろしい出来事を引き起こすとは、その時はまだ知る由もなかった。

第一章──隣人の失踪

ある朝、隣に住む老人「高橋さん」がいなくなった。

近所の人に聞くと、昨夜が彼の「雪かきの番」だったという。

「出て行ったんじゃないか?」

佐々木がそう言うと、住民たちは困ったような表情を浮かべ、こう答えた。

「この町ではね、順番を守らなかった人は消えるんだよ」

冗談だと思ったが、彼らの表情は真剣だった。

「何かの事故じゃ……?」

そう思いながらも、佐々木は嫌な予感を拭えなかった。

第二章──雪の中の異変

数日後、町の掲示板に「次の雪かき当番」の紙が貼られた。

そこには、佐々木の名前が記されていた。

「ついに回ってきたか……」

仕方なく、夜中に外へ出る。

雪かきの最中、ふと周囲が異様に静かなことに気づいた。

風もなく、雪も降っていない。ただ、遠くから微かに「ゴソゴソ……」という音が聞こえる。

「何だ……?」

音のする方へ目を向けると、雪の中から何かが「這い出してくる」ように見えた。

それは、先日消えたはずの高橋さんだった。

第三章──雪の下のもの

「……助けてくれ」

高橋さんは、ボロボロの姿で雪の中から這い出してきた。

「高橋さん!?」

佐々木が駆け寄ろうとすると、高橋さんは震える声で言った。

「お前も、順番を守れ……さもないと……」

そう言いかけた瞬間、何かが彼の足を掴んだ。

ズルッ……

高橋さんの体が、また雪の下へ引きずり込まれていく。

「待て! 何が起こってるんだ!?」

佐々木は手を伸ばしたが、雪はまるで生き物のように高橋さんを呑み込んでいった。

最後に彼が叫んだ言葉だけが、佐々木の耳に残った。

「……次は、お前の番だ……!」

そして、彼の姿は完全に消えた。

終章──終わらない順番

翌朝、佐々木は震える手で役場へ向かった。

「昨夜、雪の下から高橋さんが……!」

しかし、役場の人々は冷静に首を振った。

「高橋さん? そんな人は、ここには住んでいませんよ」

「嘘だ! 先週までいたじゃないか!」

住民たちは困ったような顔をしたまま、ただこう言った。

「忘れなさい。順番を守らなかった人は、この町から消える」

佐々木は、その場に立ち尽くした。

ふと、掲示板に目をやると、「次の雪かき当番」の紙が新しく貼り出されていた。

──そこには、彼の名前がまだ残っていた。

彼は悟った。

「この町では、絶対に雪かきをやめてはいけない」

そうしなければ、自分も「雪の下」に引きずり込まれるのだから──。



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