「この話を読んだ人は、その夜、夢の中で日本人形に会う——」
そんな噂を聞いたのは、大学のサークル仲間の間でだった。
「読んだ人、全員同じ夢を見るんだってさ」
「でも、その人形……だんだん近づいてくるらしい」
最初はただの怪談話だと思っていた。
しかし、俺は本当に"その夢"を見てしまった——。
目次
古い書物
きっかけは、バイト先の古書店だった。
ある日、店の奥で埃をかぶった古い本を見つけた。
表紙には何も書かれていないが、中を開くと、ページの端に小さな文字があった。
「この話を読んだ者は、その夜、夢の中で"彼女"に会う」
「……なんだ、これ」
ふざけた都市伝説の類だろうと思い、軽い気持ちで読み始めた。
そこには、こう書かれていた。
「昔、一体の日本人形があった。持ち主の少女は病で亡くなり、その人形だけが残った。"彼女"は今も探している。"自分を見つけてくれる人"を——」
何の変哲もない話だった。
しかし、読み終えた瞬間、背筋が冷えた。
ページの最後に、こう記されていた。
「今夜、あなたの夢の中に"彼女"が訪れます」
夢の中の人形
その夜、俺は夢を見た。
ぼんやりとした薄暗い部屋の中に、一体の日本人形が置かれていた。
黒髪は艶やかで、赤い着物を着ている。
ただ、違和感があった。
人形の目が——
俺を見ている。
動くはずのない目が、ハッキリと俺を捉えていた。
「……気のせいか?」
そう思ったが、その瞬間、人形の口元がわずかに動いた。
「見つけた……」
その言葉を最後に、俺は夢から覚めた。
翌日、そして——
「昨日の夢、変だったな……」
気味は悪かったが、夢は夢だと自分に言い聞かせた。
だが、それで終わりではなかった。
その夜も、俺は同じ夢を見た。
再び、あの薄暗い部屋。
そして、昨日より少しだけ近づいた人形。
俺の足元に、じっと座っている。
そして——
「もっと……近くで……」
目を覚ますと、心臓が激しく脈打っていた。
「……やばい」
これは、ただの夢じゃない。
本能的にそう感じた。
最後の夜
3日目の夜。
俺は、またあの夢を見た。
今度は、人形が目の前にいた。
「……いや、違う」
人形が——
俺の胸の上に乗っていた。
「……見つけたよ」
人形の目が、完全に俺を捕らえている。
その瞬間——
俺は目を覚ました。
しかし——
胸の上に、重みが残っていた。
慌てて布団をめくるが、そこには何もいない。
「……夢、だよな?」
そう思いながら、ふと部屋の隅を見ると——
そこに、知らない日本人形が置かれていた。
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