怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

祈祷師の忠告——決して途中でやめてはいけない 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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俺の地元には、古くから伝わる奇妙な風習があった。

「年に一度、村の者は全員、祈祷を受けなければならない」

そうしないと、"何か"に連れて行かれるのだという。

しかし、俺はその祈祷を途中でやめてしまった。

そして、それが何を意味するのかを知ることになる——。

村の祈祷

夏の終わり、俺は数年ぶりに田舎の実家へ戻った。

久しぶりの帰省だったが、祖母は開口一番にこう言った。

「お前、今年はちゃんと祈祷を受けるんだよ」

俺は幼い頃に何度かその祈祷を受けたことがあった。

村の古い神社で、祈祷師が呪文のような言葉を唱えながら、額に白い紙を貼られる儀式だ。

子供心に奇妙な行事だとは思っていたが、それが何のためなのかは聞かされたことがなかった。

「ただの風習だろ? 別にいいんじゃないか?」

「途中でやめたり、受けなかった者は、皆消えたんだよ」

祖母の顔は、冗談を言っているものではなかった。

俺は半信半疑のまま、翌日の祈祷に参加することになった。

祈祷の途中で——

村の神社に集められたのは、俺を含めて十数人。

順番に祈祷を受け、祈祷師が一人ひとりの額に白い紙を貼っていく。

「……お前の番だ」

俺は前に出て、祈祷師の前に座った。

目を閉じると、呪文のような言葉が耳に入る。

だが——その最中、ふと後ろから誰かに肩を叩かれた気がした。

「……?」

驚いて振り向いた瞬間、

「やめろ!!」

祈祷師の怒鳴り声が響いた。

その声に驚き、俺は立ち上がってしまった。

「今すぐ戻れ! 祈祷を最後まで受けろ!」

しかし、俺は訳も分からず、そのまま神社の外へ出てしまった。

すると、後ろから祈祷師の小さな声が聞こえた。

「……これで、お前も"狙われる側"だ」

奇妙な気配

その夜。

布団に入ると、ふと気づいた。

部屋の中に、誰かいる。

確かに、何かの気配がした。

しかし、勇気を出して辺りを見回しても、誰もいない。

気のせいかと目を閉じる——

ギシ……

布団の横で、畳が軋む音がした。

背筋が凍る。

ギシ……ギシ……

ゆっくりと、"何か"が俺の枕元に近づいてきた。

そして——

「……途中で、やめたね?」

耳元で、はっきりと囁かれた。

その瞬間、意識が途切れた。

祖母の言葉

翌朝、俺は祖母に昨夜の出来事を話した。

祖母は真っ青になり、すぐに神社へ向かった。

祈祷師は俺を見るなり、険しい顔をした。

「……まだ"来ている"な」

「来ている?」

祈祷を途中でやめた者には、"それ"がまとわりつく。そして、最後には消えるんだ」

祈祷師は俺に新しい白い紙を渡した。

「これを額に貼って、一晩過ごせ。剥がれたら終わりだ」

俺は半信半疑のまま、紙を額に貼って眠ることにした。

最後の夜

深夜。

再び、"それ"が来た。

ギシ……ギシ……

布団の横に、何かが立っている。

しかし、昨夜と違うのは——

俺には、それが"見えてしまった"ことだった。

顔がない。

ただ、黒く濁った"穴"のようなものが、じっとこちらを見ている。

「……祈祷を、最後まで受けなかったね?」

それが、ゆっくりと手を伸ばしてきた。

その瞬間——

バサッ

俺の額に貼られていた紙が、"何か"に弾かれるように落ちた。

「——あ」

その瞬間、俺の体は動かなくなった。

視界が暗くなる。

"それ"が、俺の中に入ってくる。

「……間に合った」

目が覚めたのは翌朝だった。

神社の本殿に寝かされていた俺の額には、新しい白い紙が貼られていた。

「……お前、もう少しで"連れて行かれる"ところだったぞ」

祈祷師が厳しい声で言った。

「祈祷を途中でやめた者は、"それ"に取り憑かれる」

「"それ"は、何なんですか?」

元々、この村にいた者だよ。昔、祈祷を拒んだ者がいた。そいつは、何かに連れて行かれ、それから"戻ってきた"んだ」

俺はぞっとした。

「……じゃあ、俺も?」

「いや、お前はギリギリで助かった。だが、次はないぞ。」

祈祷の意味

それ以来、俺は毎年、村の祈祷を受けるようになった。

ただ、一つだけ気になっていることがある。

俺の部屋の隅には、毎朝、剥がれた白い紙が落ちている。

まるで、"それ"が今も諦めていないかのように——。



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