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狐の窓——覗いた者は戻れない 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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「狐の窓って知ってる?」

大学の帰り道、友人の藤田が妙なことを言い出した。

「……何それ?」

「山の神社の奥に、昔から"狐の窓"って呼ばれる穴があるらしいんだよ」

「ただの穴だろ?」

「違う。そこを覗いたら、もう二度と"こっち側"には戻れないんだってさ」

藤田はそう言って、不気味に笑った。

俺はそんな話を聞かなければよかった。

——あの夜、"狐の窓"を覗いてしまうまでは。

山の神社の奥へ

その週末、俺と藤田、そしてもう一人の友人・坂本の三人で、噂の神社へ向かった。

地元では有名な神社だったが、その奥には立ち入り禁止の場所があるという。

「狐の窓って、どこにあるんだ?」

「多分、この奥のはず……」

神社の裏手には古びた石段が続いていた。

「まあ、ただの迷信だろ」

軽い気持ちで奥へ進むと、やがて小さな祠が見えてきた。

そして、その祠の横に——

ぽっかりと空いた、丸い穴があった。

まるで、人の顔ほどの大きさの"覗き穴"のように見える。

「これが……狐の窓?」

俺たちは顔を見合わせた。

そして藤田が、面白がるように言った。

「なあ、誰か覗いてみろよ」

覗いた先に見えたもの

もちろん、誰も乗り気ではなかった。

しかし、坂本がため息をつきながら言った。

「……じゃあ、俺が覗いてみるよ」

冗談半分のつもりだったのかもしれない。

坂本は狐の窓の前に立ち、そっと顔を近づけた。

そして——

「……え?」

次の瞬間、坂本は絶叫した。

「な、何だよ!? 何が見えたんだ!?」

俺たちは慌てて坂本を引き離した。

坂本はガタガタと震え、青ざめた顔で口を開いた。

「……俺たちが見てる"こっち側"が映ってた。でも——」

「でも?」

「……俺が、いなかった」

帰り道の違和感

その後、俺たちは怖くなり、急いで神社を後にした。

しかし、帰り道で異変に気づいた。

「おい、なんかおかしくないか?」

「……道が違う?」

確かに、来るときとは様子が違っていた。

木々の形も、鳥居の位置も、全部微妙に"ズレている"気がする。

「なあ、これ……本当に"元の道"か?」

そんな不安が広がる中、坂本がボソリと言った。

「……お前ら、誰だ?」

「は?」

坂本は俺たちを見つめ、不安そうに後ずさった。

「お前ら……俺の知ってる顔じゃない……」

その瞬間、鳥肌が立った。

そして俺も気づいてしまった。

藤田の顔が、少しだけ"違う"。

それに、藤田も坂本を見て、不審そうな顔をしている。

「……お前、本当に坂本か?」

「ふざけんな、そっちこそ……!」

全員が、互いに"違和感"を感じていた。

まるで、俺たちのいる世界そのものが"ズレた"かのように——。

「覗いたのは誰?」

何とか麓まで戻り、解散した。

だが、それ以来——何かがおかしい。

家に帰り、スマホの写真フォルダを開くと、違和感が確信に変わった。

坂本が映っていない。

それだけじゃない。

藤田と俺の顔も、ほんのわずかに"違う"気がする。

その時、坂本からメッセージが届いた。

「お前ら、本当に"俺の知ってる藤田と〇〇(俺の名前)"か?」

俺は震えながら返信を打った。

「……そっちこそ、本当に"坂本"なのか?」

その瞬間、スマホの画面が暗転した。

そこには——

狐の窓から覗く"何か"が映っていた。



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