目次
「狐の窓」とは
「狐の窓」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
親指と人差し指で輪を作り、その隙間から片目で覗くと——
普通には見えないものが見えると言われている。
昔の人は、「狐の世界を垣間見てしまう」とか、「そこにいるはずのない者が見える」と恐れていた。
単なる迷信だと思っていたが、俺は——それが本当だと知ってしまった。
深夜の神社で
大学の夏休み、俺と友人の翔太、直樹は、肝試しで地元の古い神社に向かった。
その神社は、昔から「狐に化かされる」という噂があった。
「神社の鳥居の前で“狐の窓”を作って覗くと、異世界が見えるらしい」
そんな話を思い出し、翔太が悪ノリで試すことになった。
「こんなの迷信だって!」
俺たちは笑いながら、鳥居の前で輪を作った。
翔太が先に覗き、すぐに笑った。
「なーんだ、何も変わんねぇじゃん」
次に直樹が覗いたが、何も見えないと言った。
そして——俺の番が来た。
俺は興味半分で、親指と人差し指の輪を作り、片目で覗いた。
その瞬間、世界がおかしくなった。
狐の世界
覗いた先の神社は、さっきまでとは違っていた。
灯篭の明かりがぼんやりと揺れ、空気が妙に湿っている。
そして——
鳥居の向こう側に、人ではない何かが立っていた。
真っ白な着物を着た女。
顔が、ない。
「……え?」
俺が息を呑んだ瞬間、女がスッと頭を傾けた。
そして——
「見えちゃったね」
耳元で囁かれた。
その瞬間、強いめまいがして、俺はその場に崩れ落ちた。
何かがついてきた
気がつくと、俺は地面に倒れていた。
翔太と直樹が心配そうに覗き込んでいる。
「おい、大丈夫か?」
「……今の、何だったんだ?」
俺は必死に「顔のない女」の話をしたが、二人は何も見ていなかったと言う。
「冗談はやめろよ」
二人は笑っていたが、俺は確信していた。
俺だけが——何かを見てしまった。
その夜、帰宅して鏡を見ると、背後に人影が映った。
白い着物の女が、俺の背後で微笑んでいた。
次の瞬間、ふっと影は消えた。
だが、それ以来、俺は時々誰もいないはずの場所で囁き声を聞くようになった。
「見えちゃったね」
あの日、俺が覗いたのは、決して見てはいけない世界だったのかもしれない。
そして——
もしかすると、まだあの女は俺のそばにいるのかもしれない。
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