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狐の窓——開かれた世界の向こう側 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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「狐の窓って知ってる?」

大学の民俗学ゼミで、後輩の三浦がそんなことを聞いてきた。

「……なんだ、それ?」

「手を組んで作る輪っかだよ。指で輪を作って、その隙間から景色を見ると"本当の世界"が見えるっていう……まあ、言ってみればおまじないみたいなものかな」

そう言いながら、三浦は右手と左手の指を絡ませ、親指と人差し指で小さな輪を作ってみせた。

「狐の窓、っていうのは、本来は『狐の目』とも言われてたらしい。狐の視点でこの世を覗くと、人間には見えないものが見えるって話さ」

「なるほど……まあ、民間伝承の類だろ?」

俺は軽く流したが、三浦は妙に真剣な顔をしていた。

「先輩、一回試してみません?」

——あの時、冗談半分で試さなければよかった。

"向こう側"を覗いてしまうまでは。

狐の窓を覗いた日

週末、俺たちは大学近くの神社へ向かった。

「狐の窓を試すなら、やっぱり神社がいいでしょ?」

三浦の提案で、境内の奥にある古い鳥居の前に立った。

「じゃあ、やってみてください」

言われた通り、俺は両手の指を組み、小さな輪を作って覗き込んだ。

すると——

鳥居の向こうの景色が、まるで"違う場所"のように変わった。

今までは普通の神社だったのに、木々の影が長く伸び、空が妙に赤黒い。

「……おい、なんだこれ?」

目を凝らすと、鳥居の向こうに何かの影が立っていた。

「——誰かいる?」

そう思った瞬間、影がこちらをじっと見た。

普通の人間じゃない。

輪郭がぼやけていて、顔が見えない。

ただ、その"何か"は、はっきりと俺の存在を認識しているようだった。

そして——

「見つけた」

低い囁きが耳元で響いた。

俺は慌てて両手をほどいた。

しかし——

世界は、元に戻らなかった。

世界が少しずれた

「おい、三浦!」

隣を見ると、三浦は不思議そうな顔をしている。

「どうしました?」

「今、何か聞こえなかったか?」

「……何も?」

三浦は首をかしげる。

だが、周りの雰囲気が微妙に違う。

木々の形、社の位置、遠くに見える街並み——

どこもかしこも"少しだけ"違う。

「……おい、これ、本当に"俺のいた世界"か?」

胸騒ぎがして、スマホを取り出す。

しかし、画面を開いた瞬間、血の気が引いた。

スマホの待ち受けの写真が変わっている。

昨日まで使っていた風景の画像が、見知らぬ赤い鳥居の写真になっていた。

しかも——

その鳥居の向こうに、"何か"が立っていた。

「もう戻れないよ」

三浦が、そう囁いた気がした。



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