目次
序章:友だちの失くし物
「ねえ、これ……あんたの?」
放課後の教室で、中学生の橋本菜月(はしもと・なつき) は、机の上に置かれた黒いノートを手に取った。
「……なにそれ?」
隣の席の 工藤麻里(くどう・まり) が怪訝そうに尋ねる。
「机の中に入ってた。名前書いてないけど、誰かの日記っぽい。」
「え、マジで? ちょっと見せてよ。」
ノートの表紙には何の飾りもなく、ただ黒い革のような質感。
不気味なことに、裏表紙には 《3月7日》 という日付だけが書かれていた。
「3月7日って、今日じゃん。」
「……誰のだろうね。」
気になった2人は、好奇心からその日記を開いてしまった。
それが間違いの始まりだった。
第一章:日記の内容
《3月5日》
今日はとても楽しかった。
菜月と麻里と一緒に帰った。
また明日もみんなで遊ぼう。
《3月6日》
今日もみんなで帰った。
でも、麻里がちょっと冷たい気がした。
私、嫌われてるのかな……。
「え、私たちのこと書いてる……?」
日記の内容に、2人は顔を見合わせた。
「ねえ、これって誰が書いてるんだろう……。」
「でもさ、今日の分とかも書いてるのかな?」
興味本位で 3月7日の日記 をめくる。
そこには、こう書かれていた。
《3月7日》
今日は、菜月が私の日記を見つけた。
麻里も一緒に読んでいた。
私、あんまり読んでほしくなかったな……。
でも、大丈夫。
今夜、2人の家に遊びに行くから。
「……え?」
「……今夜って……」
「……遊びに……?」
2人はゾッとした。
「ねえ、冗談だよね?」
「……これ、誰の?」
2人は必死に日記を調べたが、持ち主の名前はどこにも書かれていない。
ただ、次のページには、さらなる恐怖が待っていた。
第二章:増えていく内容
《3月7日 夜》
菜月の家に行った。
ドアは開かなかったけど、窓から覗いたら菜月がいた。
でも、菜月は私に気づいてくれなかった。
悲しいから、今日は帰った。
《3月8日》
麻里の家に行った。
お母さんと話してたみたいだけど、麻里は私を無視してた。
おかしいなぁ。私、ここにいるのに。
2人は異様な不安に駆られた。
そして、最後のページには、こう書かれていた。
《3月9日》
菜月と麻里が、私のこと忘れようとしてる。
でも、忘れさせないよ。
今日、2人の家に入ることにしたから。
「入る……?」
その瞬間——
ガタッ……
教室の隅のロッカーが、微かに揺れた。
「……何?」
麻里が震える声で言う。
菜月が恐る恐るロッカーを開けると——
中には、あの日記と全く同じもの が入っていた。
しかも、その日記の表紙には、こう書かれていた。
《3月9日》
今日は2人に会いに行く日。
ちゃんと見つけてくれるかな。
「……なんで、ここに……?」
そして、そのノートの最後のページには、こう記されていた。
《3月10日》
菜月と麻里が、ちゃんと私を見つけてくれた。
だから、今夜も行くね。
次は、ちゃんとお話しできるからね。
菜月は恐怖でノートを放り投げた。
「……帰ろう……!!」
「うん……!!」
2人は急いで教室を飛び出し、家へ帰った。
しかし、その夜——
2人の自宅のポストには、あの日記の続き が投函されていたという。
《3月11日》
今日はね、菜月の部屋でずっと待ってたんだ。
でも、菜月は私が見えないみたい。
明日も来るね。
《3月12日》
麻里の家にも行ったよ。
麻里も私に気づいてくれなかった。
でもね、大丈夫。
私、もう一度 “おまえたちの友だち” になるから。
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