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【恐怖体験】「告知事項ありの部屋」──心理的瑕疵が消えない理由 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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異様に安い物件

俺がそのアパートを見つけたのは、転職をきっかけに引っ越しを考えていた時だった。

「家賃2万円・駅徒歩5分・即入居可」

条件が良すぎる。

内見を申し込むと、不動産会社の担当者が少し渋い顔をしながらこう言った。

「こちらの物件、告知事項ありとなっておりますが……」

「告知事項?」

「……いわゆる心理的瑕疵ですね」

心理的瑕疵とは、過去に事件や事故などが起きたことで、住むのに抵抗を感じる可能性がある物件のことを指す。

俺は少し迷ったが、内見だけでもと現地へ向かった。

何かがおかしい

部屋はごく普通のワンルームだった。

ただ、妙に壁紙が新しい。
不自然なほど真っ白で、つい最近貼り替えたような感じだった。

「ここで何があったんですか?」

俺がそう聞くと、不動産屋は少し言いづらそうに言った。

「……前の入居者が、室内で亡くなっています」

「亡くなった理由は?」

「……事故死、ということになっています」

歯切れが悪い。

少し引っかかったが、安さに惹かれて俺は契約してしまった。

「誰かいる?」

入居して1週間ほどは、特に異変はなかった。

だが、ある日を境に奇妙なことが起き始めた。

最初は、夜中に誰かが廊下を歩く音がする。

パタ……パタ……

足音は玄関前で止まり、ノックのような音が響く。

「コン……コン……コン……」

ドアスコープを覗いても、誰もいない。

次第に、足音は部屋の中から聞こえるようになった。

ベッドに横たわっていると、隣の壁から——

「コン……コン……」

壁を叩くような音。

「……隣の住人か?」

だが、翌日確認すると、隣の部屋は空室だった。

告知されていなかったこと

恐ろしくなり、俺は再び不動産会社に電話をかけた。

「すみません、あの……隣の部屋、誰か住んでますよね?」

「いえ、あの部屋は半年以上空き室です」

「……じゃあ、夜中の音は何なんですか?」

担当者は一瞬、沈黙した。

「……念のため、調べてみますね」

数日後、担当者から連絡が入った。

「すみません、お伝えしづらいのですが……」

「実は、その部屋……以前も同じような苦情がありまして」

「同じような?」

「夜中に足音やノック音がすると……」

「でも、それって隣の部屋ですよね?俺が住んでる部屋とは関係ないのでは?」

すると担当者は、申し訳なさそうにこう言った。

「……いえ、正確にはどちらの部屋も告知事項の対象なんです」

「は?」

「……実は、3年前に隣の部屋で亡くなった方がいまして……」

「聞いてませんよ!?亡くなった理由は?」

担当者はしばらく沈黙した後、小さな声で言った。

「室内で自死されたんです。」

「でも、それって事故物件として登録されてるんですよね?」

「……はい。ただ、その方が亡くなった後に入居された方も、同じように亡くなっていまして。」

俺の背中に嫌な汗が流れた。

「え……? つまり……」

「……二人続けて、自死です。」

俺は言葉を失った。

「告知事項」

恐ろしくなり、すぐに退去を申し出た。

だが、その晩——

俺は夜中に目を覚ました。

コン……コン……コン……

またノック音が聞こえる。

「……もう無理だ」

耳を塞いで朝を待った。

翌朝、荷物をまとめて部屋を出る時、ふと壁の一部が少しだけ浮いていることに気づいた。

恐る恐る剥がしてみると——

下から、血のようなシミが滲み出ていた。

俺は全力でその部屋を飛び出した。

後日談

退去後、ネットで物件情報を調べた。

すると——俺が住んでいた部屋は数ヶ月後にはまた入居者募集が出ていた。
しかも、また家賃は2万円のまま。

その部屋の情報欄を確認すると、

【告知事項あり】

と書かれていた。

だが、入居履歴を調べてゾッとした。

俺の前に入居していた人間は、皆1年以内に退去。
理由は、「夜中のノック音が怖いから」と記録されていた。

そして数ヶ月後——

その物件のレビューに、新たな入居者がこう書き込んでいた。

「深夜2時になると、必ず激しいノック音がします。
誰かがドアの外から覗いている気がするのですが、
不動産屋には“告知事項はない”と言われました。」

俺はスマホをそっと閉じた。

あの部屋は、今も「何か」を待っているのだろう。
次の住人が入る、その日まで——。



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