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【異界駅】降りてはいけない終着駅 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:終電に乗った男

「……終電、間に合った……。」

会社員の 小田島悠介(おだじま・ゆうすけ) は、残業を終え、かろうじて最終電車に飛び乗った。

時刻は 23:58。

ガラガラの車両には、数人の乗客が座っているだけ。

「……疲れたな……。」

目を閉じた瞬間、ふと車内アナウンスが流れた。

「まもなく、終点に到着します。」

「え?」

おかしい。

この電車は まだ3駅先まであるはずだ。

窓の外を覗くと、知らない小さな駅が見えた。

改札はなく、駅名板だけが薄暗い光に照らされている。

そこには、こう書かれていた。

《異界駅》
「……異界駅?」

聞いたこともない名前だ。

乗客は誰も降りようとせず、車内は静まり返っている。

悠介は不審に思いながらも、アナウンスを聞き流し、再び目を閉じた。

だが、数分後——

「まもなく、異界駅に到着します。」

「……まだ?」

確かに、さっき停車したはずだ。

しかし、窓の外を覗くと、また同じ異界駅が現れている。

「……え?」

まるで、同じ場所をぐるぐる回っているようだった。

不安になった悠介は、乗客の一人に声をかけた。

「すみません、この電車って終点どこでしたっけ?」

乗客は、無表情で言った。

「終点は……異界駅ですよ。」

「……え?」

「あなたも、降りるんですよね?」

「い、いや……違います。」

「でも……次の駅で、必ず降りなきゃいけませんよ。」

悠介は、背筋がゾッとした。

第一章:異界駅で降りた者

「まもなく、異界駅です。」

再びアナウンスが流れる。

そして、車両のドアだけが勝手に開いた。

「次は降りるんですよね?」

乗客が、悠介をまっすぐ見つめている。

「……いや、降りません。」

悠介は必死に座席にしがみついた。

だが、他の乗客たちが一斉に立ち上がり、悠介を囲むようにした。

「降りなきゃ、ダメなんですよ。」

「終点なんですから。」

「早く、降りてください。」

恐怖で全身が凍りつく。

悠介は必死にドアから離れようとするが——

ガタンッ!!

突然、車内の明かりがすべて消えた。

「……っ!!」

一瞬の暗闇の中、悠介は誰かに腕を引かれ、強引に車外へと引きずり出された。

第二章:異界駅の世界

目を開けると、悠介は異界駅のホームに立っていた。

「……なんだよ、ここ……。」

周囲は真っ暗な森。

電灯はわずかに揺らめき、駅舎の奥は闇に溶け込んでいた。

振り返ると、電車の窓からさっきの乗客たちが悠介を見ている。

「ようこそ、異界駅へ。」

「楽しんでね。」

ドアが閉まり、電車はゆっくりと走り出す。

悠介は慌てて乗ろうとするが——

「異界駅からは戻れませんよ。」

ホームのスピーカーから、そう告げられた。

「……は?」

「降りた人は、戻れません。」

「そんなバカな……!」

悠介は狂ったようにホームを駆け回ったが、出口はない。

どこまで歩いても、異界駅から出ることはできなかった。

第三章:次の乗客

どれくらい時間が経っただろうか。

疲れ果てた悠介がホームのベンチに座っていると、再び電車が入ってきた。

「まもなく、終点 異界駅です。」

ガラガラの電車。

悠介はふと車内を覗いた。

すると——

自分自身が、車内に座っている。

「……え?」

いや、違う。

よく見ると、それは悠介の顔をした別の何かだった。

その“何か”がゆっくりと目を上げ、悠介を指差す。

「今度は、お前が乗る番だよ。」

「は……?」

電車のドアが開く。

そして、異界駅のホームに新しい乗客が降り立った。

悠介はその瞬間、気づいてしまった。

—— 自分も、次の乗客を迎える側になったのだ。

「……ウソだろ……。」

次の電車は、また新しい人間を異界駅に連れてくる。

そして、今度は悠介が「降りなきゃいけませんよ」と勧める番になるのだ。

終わらない。

終わらない。

—— 終わらない異界駅のループが始まった。

エピローグ:異界駅の存在

数日後。

ある男性が、終電に乗っていた。

時刻は23:58。

「……疲れた。」

次の瞬間、アナウンスが流れる。

「まもなく、終点 異界駅です。」

車内には、少しだけ見覚えのある男が座っていた。

「次は、降りるんですよね?」

その男は、どこかで見たような顔。

—— 小田島悠介。

今度は、彼が新しい乗客を迎える役目になっていた。

そして、電車は今日も新たな乗客を異界駅へ運び続けている。

あなたも——次に降りるのは、あなたかもしれない。



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