目次
序章:奇妙なスリッパ
「……また、ズレてる。」
会社員の 高橋涼介(たかはし・りょうすけ) は、自宅の玄関を見て違和感を覚えた。
スリッパが微妙に位置を変えているのだ。
「気のせいか……?」
誰かが家に侵入した様子もないし、玄関の鍵はしっかり閉まっている。
しかし、涼介は毎朝スリッパの位置が少しずつ変わっていることに気づいていた。
「……まあ、気にしすぎだな。」
そう思い、深く考えないことにした。
だが、それは恐怖の始まりだった。
第一章:深夜の足音
ある夜、仕事で疲れた涼介は早めにベッドに入った。
時間は午前2時。
すると——
パタ……パタ……パタ……
静まり返った部屋に、スリッパの足音が響いた。
「……誰かいる?」
すぐに目を覚ましたが、部屋には誰もいない。
玄関を確認すると、スリッパが明らかに別の場所に移動していた。
「……え?」
不審に思いながらも、涼介は再びベッドに戻った。
しかし、その夜から——
毎晩、スリッパの足音が聞こえるようになった。
第二章:誰かが履いている
数日後。
涼介はついに、足音の正体を確かめる決意をした。
スマホを玄関にセットし、スリッパを監視することにしたのだ。
録画を開始し、翌朝確認すると——
そこには、誰もいないはずの玄関で、スリッパが勝手に動く映像が残されていた。
「……っ!!」
明らかに何かがスリッパを履いて歩いている。
しかし、映像に足は映っていない。
まるで、見えない何かがスリッパを履いているようだった。
「こんなの、おかしい……!」
その瞬間——
パタ……パタ……
足音が、すぐ背後から聞こえた。
恐る恐る振り向くと——
そこには、誰もいなかった。
ただ、涼介の足元には、スリッパが並んで置かれていた。
第三章:スリッパの持ち主
「このスリッパ、捨てる。」
涼介は恐怖のあまり、スリッパをゴミ袋に入れ、すぐに処分した。
しかし——
翌朝、玄関には同じスリッパが置かれていた。
「なんで……?」
混乱しながらも、改めてスリッパを調べると、内側にうっすらと文字が刻まれているのを見つけた。
《たかはし しんいち》
「……しんいち?」
それは、涼介の亡くなった祖父の名前だった。
祖父は、涼介が幼い頃に亡くなったが、生前、よくスリッパを履いて家の中を歩いていたのを覚えている。
「もしかして……おじいちゃん?」
そう思った瞬間——
パタ……パタ……
スリッパの足音が、優しく玄関から聞こえた。
今までとは違い、どこか懐かしく、優しい音に感じられた。
「……おじいちゃん、ありがとう。」
その日を境に、スリッパの足音はぱったりと止んだという。
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