目次
深夜の展望台
大学の夏休み、俺は友人のタカシと心霊スポット巡りをしていた。
その日訪れたのは、地元でも有名な「見晴らしの丘」という展望台だった。
昼間は絶景のスポットだが、夜になると幽霊が出るという噂がある。
「昔、この丘の下には村があって、戦時中の空襲で住人が全滅したらしい。」
そう言われると、確かに不気味な雰囲気がある。
俺たちは懐中電灯を片手に展望台に向かった。
展望台には誰もいなかった。
眼下には街の灯りが広がり、遠くには黒い森が広がっている。
「なんだよ、普通にきれいじゃん。」
タカシは笑いながら双眼鏡を取り出した。
「せっかくだし、これで夜景でも見てみるか。」
俺も面白半分で借りて覗いた。
しかし、その双眼鏡で、絶対に見てはいけないものを見てしまった。
並ぶ影
双眼鏡を覗くと、遠くの森がはっきりと見えた。
その時——
(……ん?)
何かが、森の中に並んでいる。
最初は木の幹かと思った。
しかし、よく見ると——
それは人の形をしていた。
「おいタカシ、これ見てみろよ。」
タカシに双眼鏡を渡すと、彼もすぐに異変に気づいた。
「……なんだこれ……人?」
暗闇の中、無数の白い影が整然と並んでいる。
みんな顔を伏せ、じっと動かない。
「やばい……やばいってこれ……」
俺たちは異様な雰囲気に飲まれ、慌てて双眼鏡を下ろした。
「気のせいだろ。もう一回見てみろよ。」
タカシが言い、再び双眼鏡を覗いた。
そして、彼は凍りついた。
「……おい、嘘だろ。」
「今度は何だよ。」
タカシは震える手で俺に双眼鏡を渡した。
「こっち、見てる……」
見つかった
俺は恐る恐る再び覗いた。
さっきまで伏せていた白い影たちが、今度は一斉にこちらを向いていた。
目がないはずの顔に、ぽっかりと黒い穴が空いている。
「やばい、やばい、やばい!!」
俺たちは双眼鏡を放り投げ、展望台を飛び出した。
駐車場まで全力で走り、車に飛び乗る。
「……マジで、なんだったんだよ、あれ。」
息を切らしながら、タカシが震える声で言った。
その時——
「コン、コン……」
助手席側の窓を、何かが叩いた。
俺たちは絶叫した。
その後
猛スピードで車を走らせ、俺たちは何とか帰宅した。
だが、それ以来、俺たちは奇妙な現象に悩まされるようになった。
ある夜、俺がふと窓の外を見ると、双眼鏡で見たあの群れが遠くに立っていた。
そして、夜ごと少しずつ近づいてきている。
タカシの家でも同じことが起こっていたらしい。
「……あいつら、俺たちを追ってきてるのか?」
それ以来、俺たちは夜の窓を決して覗かないようにしている。
もし、また双眼鏡で覗いてしまったら——
次こそ、連れて行かれる気がするから。
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