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【立入禁止の暗室】絶対に現像してはいけない写真 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:旧校舎の暗室

「……ここ、まだ残ってたのか。」

大学の写真部に所属する 佐藤直人(さとう・なおと) は、廃墟同然の旧校舎に足を踏み入れた。

かつて使われていたが、今は立入禁止となっている建物。

「おい、マジで入るのか?」

後ろからついてきたのは、同じ写真部の 田村悠真(たむら・ゆうま)。

「大丈夫だって。先輩が言ってたんだ。“旧校舎の暗室には、まだ現像機材が残ってる”って。」

「でもさ、立入禁止って書いてあったぞ?」

「ただの張り紙だろ?」

そう言って、直人は旧校舎の奥へと進んでいった。

—— 2階の奥の部屋に、その暗室はあるはずだ。

第一章:暗室の異変

しばらく歩くと、目的の部屋にたどり着いた。

扉には「立入禁止」の張り紙。

しかし、鍵はかかっていなかった。

「じゃあ、お邪魔しまーす。」

直人が軽く冗談を言いながら扉を開けると、中には昔の暗室機材がそのまま残されていた。

古びた引き伸ばし機、薬品の入った瓶、赤いセーフライト——

「おお、すげえ。まだ使えるかも。」

「でも、なんか空気重くね?」

悠真は周囲を見回しながら、壁に貼られた写真に目を向けた。

人の顔が写っている。

だが、どれも——

顔がぐちゃぐちゃに歪んでいた。

「……やばくないか?」

「何かの作品じゃね?」

直人は気にせず、暗室の隅にある引き出しを開けた。

そこには、古い未現像のフィルムが入っていた。

「おい、これ現像してみようぜ。」

「やめとけって。こんな場所にあるフィルム、何が写ってるかわかんねえだろ。」

「だからこそ、面白いんだろ?」

直人はフィルムを現像機にセットし、薬品に浸した。

しかし、その瞬間——

部屋の電気が一瞬、チカチカと点滅した。

第二章:写っていたもの

数分後——

写真が浮かび上がってきた。

だが、その写真を見た直人は、思わず息を飲んだ。

旧校舎の廊下が写っている。

「……何だよ、これ。」

「誰かが撮ったやつか?」

「でも、おかしいだろ。」

よく見ると、写真の奥に誰かが立っている。

白い服を着た女が、ぼんやりと映っていた。

「……この場所じゃねえか……。」

悠真が震える声で言った。

確かに、その写真は今いる旧校舎の廊下そのものだった。

「偶然じゃね?」

「じゃあ、次のやつも現像してみろよ。」

直人は次のフィルムを取り出し、同じように現像液に浸した。

すると——

今度は、旧校舎の暗室が写っていた。

「……。」

そして、写真の端に、先ほどの白い服の女が立っていた。

「これ……マズいんじゃねえか?」

悠真が後ずさる。

しかし、直人はさらに次のフィルムを現像し始めた。

そして——

今度の写真には、直人と悠真が写っていた。

しかも、今この瞬間と全く同じ構図。

直人が現像機を覗き込み、悠真が後ろに立っている。

しかし、違う点が一つだけあった。

—— その写真の背後には、白い服の女がもうすぐそこまで来ていた。

第三章:暗室に閉じ込められたもの

「……嘘だろ?」

悠真がガタガタと震え、直人を引っ張る。

「逃げるぞ!!」

二人は急いで暗室を飛び出した。

しかし、廊下の景色がさっきとは違っていた。

「……え?」

窓の外が真っ暗になっている。

「おい、外に出よう!!」

二人は非常階段に向かったが——

扉を開けた瞬間、目の前に赤黒い写真が無数に貼られた壁が現れた。

写真には、先ほどと同じように顔が歪んだ人々が写っている。

そして、その中の一枚に——

直人と悠真が写っていた。

「なんだよ……これ……。」

写真の直人と悠真は、今と全く同じポーズで、後ろには白い服の女が立っている。

そして、その顔が少しずつ歪み、黒く滲み始めた。

「うわあああ!!!」

二人は必死に暗室へ戻り、扉を閉めた。

—— すると、次の瞬間、電気がふっと消えた。

真っ暗な暗室の中、耳元で囁く声が聞こえた。

「もう一枚、撮らなきゃね……。」

エピローグ:消えた二人

翌日、大学の職員が旧校舎の異変に気づいた。

立入禁止の暗室の扉が開いていたのだ。

しかし、中には誰もいなかった。

直人と悠真は、二度と見つからなかった。

ただ、暗室の壁には、新しい写真が貼られていた。

旧校舎の暗室の中に立つ、二人の青年の写真が——。



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