怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

立入禁止の部屋にあった日本人形 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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廃旅館の「立入禁止」

俺の地元には、長年廃墟になっている旅館がある。

かつては人気の温泉宿だったらしいが、ある日突然閉業し、誰も住まなくなった。

それから20年以上経つのに、取り壊されることもなく、そのまま放置されている。

そして、その旅館にはひとつ奇妙な噂があった。

「一室だけ、絶対に入ってはいけない部屋がある」

噂によれば、その部屋には大量の日本人形が置かれていて、興味本位で入った者は必ず体調を崩すか、行方不明になるという。

……そんな話を聞いたら、確かめたくなるのが俺たちだった。

好奇心旺盛な俺と友人のタカシ、マサキの3人で、その廃旅館に侵入することになった。

「立入禁止」の部屋

夜、俺たちは旅館の裏口から忍び込んだ。

廊下は埃だらけで、湿った木の匂いが鼻につく。

「……まじで誰も管理してねぇな。」

懐中電灯の明かりを頼りに進むと、やがて噂の「立入禁止」の札がかかった部屋にたどり着いた。

木の扉には、大きく『絶対に入るな』と赤字で書かれていた。

「……これ、さすがにヤバくね?」

マサキが不安そうに言うが、タカシは興奮気味に笑った。

「ここまで来て入らないとかねぇだろ。」

タカシが思い切り扉を押すと、鍵はかかっておらず、簡単に開いた。

そして、俺たちは部屋の中を見て——

言葉を失った。

並ぶ日本人形

部屋の中には、無数の日本人形が並んでいた。

古びた畳の上に、大小さまざまな日本人形が隙間なく並べられている。

長い黒髪のもの、赤い着物を着たもの、顔がほとんど剥げかけたもの……

どの人形も、じっとこちらを見ているように感じた。

「……気味悪すぎる。」

マサキが呟く。

「誰かが置いたのか……?」

タカシが近づき、床にしゃがみこんで人形をまじまじと見つめた。

その瞬間——

「カチ……」

微かに、人形の口が動いたように見えた。

「……っ!!」

「おい、今、動かなかったか?」

「やめろって! もう出よう!!」

しかし、タカシは面白がるように、さらに奥へ進んだ。

「なぁ、これ持って帰ったら面白くね?」

そう言って、一体の人形を手に取った。

その瞬間——

「……返して。」

部屋のどこかから、低く掠れた声が聞こえた。

「……今の、誰だ?」

俺たちは全員、顔を見合わせた。

「気のせいだろ……」

タカシは笑いながら人形を持ったまま、扉へ向かった。

だが、扉を開けようとした瞬間——

「ガタンッ!!!」

突然、部屋の奥にある収納棚が激しく揺れた。

「うわっ!!」

驚いて後ずさるタカシ。

すると、収納棚の隙間から、何かが覗いていた。

……それは、人形と同じ顔をした何かだった。

「……返して。」

その瞬間——

部屋中の日本人形が、一斉にこちらを向いた。

逃げられない

「やばい!! 置け!!」

マサキが叫び、タカシは慌てて人形を床に戻した。

次の瞬間——

部屋の照明が、一瞬だけ点いた。

パッと照らされた部屋の中。

……そこには、俺たち3人以外にもう一人、立っていた。

日本人形と同じ赤い着物を着た、顔のない女。

「……見たな。」

その声を聞いた瞬間、俺たちは全速力で部屋を飛び出した。

背後で、「カタカタカタカタ!!」 と、人形が動く音が聞こえた。

俺たちは廊下を駆け抜け、息を切らしながら旅館の外へ逃げた。

外に出ると、異常な静けさ。

「……マジで、なんだったんだよ……」

俺たちは顔を見合わせ、無言でうなずいた。

もう二度と、あの旅館には行かない。

そして、また……

それから数日後、俺たちは奇妙な違和感に気づいた。

俺の部屋の鏡の端に、何か映る。

マサキの家の玄関に、いつの間にか赤い布が落ちていた。

そしてタカシ——

彼は突然、姿を消した。

警察に通報したが、タカシの行方はわからないままだ。

だが、俺たちは知っている。

きっと、あの「立入禁止の部屋」の何かに連れて行かれたのだと。

そして、それから数日後——

タカシの家の玄関に、一体の日本人形が置かれていたという。

それは——

タカシが手に取った、あの人形だった。



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