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【立入禁止の祭壇】封じられた魍魎召喚の儀式 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:学校の裏にある“立入禁止”

「おい、あそこに行くのか?」

高校の夏休み、肝試しのノリで集まった 石井隼人(いしい・はやと) とその友人たち。

目的地は、学校の裏にある立入禁止の旧校舎だった。

「あそこ、昔“何か”を封じたって話があるんだろ?」

そう言ったのは 田中翔吾(たなか・しょうご)。

「教師たちが絶対に入るなって言う場所だからな……。」

「でも、ただの使われてない倉庫だろ?」

好奇心に勝てなかった隼人たちは、夜の旧校舎へ向かった。

しかし、この時はまだ知らなかった。

そこが“魍魎召喚”のための祭壇だったことを——。

第一章:封じられた扉

旧校舎は、何年も放置されたままのようで、窓ガラスは割れ、草木が絡みついていた。

「……不気味だな。」

入り口には、ボロボロの貼り紙がある。

《立入禁止 —— 破れば災いが降りかかる》

「ベタすぎるだろ。」

翔吾が笑いながら、張り紙を破り捨てた。

「お邪魔しまーす。」

その瞬間——

ザワッ……

まるで空気が変わったような感覚がした。

「……寒っ。」

夏なのに、旧校舎の中は異様に冷たい。

「なあ、本当に大丈夫か?」

「ビビってんのか?」

隼人たちは奥へと進んでいった。

そして、地下へと続く階段を見つけた。

「……地下なんてあったか?」

「先生たちも、ここには絶対に近づくなって言ってたよな。」

だが、もう後戻りできなかった。

彼らは、“封じられた場所”に足を踏み入れてしまったのだから。

第二章:魍魎召喚の儀式

地下室は、まるで儀式場のようだった。

壁には古びた呪文のような文字が書かれ、中央には石造りの祭壇があった。

「……ここ、なんかヤバくないか?」

「なあ、これ見てくれよ。」

翔吾が床の上に落ちていた古びた巻物を拾い上げた。

『魍魎召喚ノ儀』

「召喚? マジかよ、これ……。」

巻物には、古い文字でこう書かれていた。

「魂ヲ生贄トシ、封印ヲ解クベシ」
「供物ナキ者、魍魎ニ喰ラワレル」

「ふざけてんな……。」

「いや、これって……“封印されてる何か”を呼び出すってことだろ?」

誰かが冗談で呟いた。

「せっかくだし、やってみるか?」

「おい、やめとけって!」

しかし、翔吾は床に落ちていた古い短剣を手に取り、指先を少しだけ切った。

ポタリ……

祭壇の上に血が落ちる。

その瞬間——

ゴゴゴゴゴ……!!

地下室全体が揺れた。

「やばい!!」

壁に刻まれた文字が赤く光り始める。

そして——

祭壇の奥から、何かが這い出してきた。

第三章:魍魎の目覚め

「うわ……なんだよ、これ……!!」

暗闇の中から現れたのは、黒い靄に包まれた巨大な影。

目も鼻もなく、ただ口だけが裂けている。

「……イマ……タベル……?」

「な、なんだこいつ……!!」

魍魎の視線が翔吾に向けられた。

血を落としたのは、翔吾だった。

「ヤバい……!!」

翔吾が逃げようとした瞬間——

ギィィ……バキバキバキ……!!

魍魎の手のようなものが翔吾を掴み、ずるずると引き寄せる。

「助けて……助けてくれ……!!!」

隼人たちは動けなかった。

翔吾が、魍魎に引き込まれる直前——

「封印ヲ戻セ……!!」

突然、巻物の文字が光り始めた。

バキィィィン……!!

爆発のような衝撃と共に、魍魎の姿が消えた。

翔吾は、祭壇の前に倒れていた。

「……助かった?」

しかし——

翔吾の目が黒く濁っていた。

「……翔吾?」

ゆっくりと立ち上がった翔吾が、不自然な動きで隼人たちを見た。

「……アリガトウ……オカゲデ……」

「な、なんだよ……?」

「……“オレ”ハ、コノセカイニ……カエッテキタ。」

そこにいたのは、翔吾ではなかった。

エピローグ:封印は解かれた

翌日。

旧校舎の地下は、完全に封鎖された。

しかし、隼人は知っていた。

—— 封印は、もう解かれてしまった。

そして、翔吾は……いや、“翔吾だった何か”は、今も普通に生活している。

「……本当に、お前……翔吾なのか?」

隼人がそう尋ねたとき、翔吾はニヤリと笑った。

「……ナンノコト?」

その口元は、異様に裂けていた。



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