目次
序章──図書館の閉架書庫
大学生の田中翔太は、卒業論文の資料を探すため、大学図書館の地下にある閉架書庫に入ることになった。
通常、一般の学生は立ち入ることができない場所。
しかし、翔太は教授の許可を得て、司書の案内のもと、書庫の奥へと進んだ。
「くれぐれも、勝手に奥には行かないでくださいね」
司書はそう忠告した。
「奥には、閲覧禁止の書物もありますので……」
「わかりました」
そう答えたものの、翔太はふと気になった。
「閲覧禁止の書物?」
本の内容が危険だからか、劣化が激しいからか……。
気にはなったが、まずは必要な資料を探し始めた。
しかし、その途中。
本棚の隙間に、一冊だけ異様な雰囲気を放つ本を見つけた。
タイトルは、かすれて読めない。
背表紙には、赤い字で「立入禁止」と書かれていた。
「なんだこれ……?」
翔太は、その本を手に取ってしまった。
第一章──読んではいけない本
本を開くと、中にはびっしりと意味の分からない文字が書かれていた。
──黒く塗りつぶされたページの間に、一つだけ読める文章があった。
「この本を読んだ者は、夢の中で扉を開く。
そして、そこへ踏み込めば、もう戻れない。」
「……冗談か?」
翔太は不気味に思ったが、論文には関係なさそうなため、そのまま本を戻した。
特に何も起こることなく、書庫を後にした。
しかし、その夜──
翔太は悪夢を見た。
第二章──悪夢の中の扉
翔太は、夢の中で暗い廊下に立っていた。
壁には古びた看板があり、そこには「立入禁止」と書かれている。
だが、なぜか足が勝手に前へ進む。
廊下の奥には、一つの扉があった。
──コン……コン……
扉の向こうから、ノックの音がする。
「誰かいるのか?」
返事はない。
しかし、翔太の手は、まるで何かに操られるように、ゆっくりとドアノブに伸びていった。
「……開けたら、ダメだ」
本能的にそう思い、手を引こうとした瞬間。
──ギィ……
扉が勝手に開いた。
真っ暗な部屋の奥に、ぼんやりとした人影が立っていた。
次の瞬間──
「次は、お前の番だ」
何かが翔太に向かって飛びかかってきた。
その瞬間、翔太は悲鳴を上げながら目を覚ました。
第三章──消えた本
汗だくになりながら、翔太はベッドから飛び起きた。
「……夢か……?」
しかし、ただの夢ではなかった。
手のひらには、本のインクのような黒い染みがついていた。
「そんなバカな……」
翌日、翔太は再び図書館へ向かった。
昨日見つけた本をもう一度確認するためだ。
しかし、どれだけ探しても「立入禁止」と書かれた本は見つからなかった。
司書に尋ねると、
「そんな本は、この図書館にはありませんよ」
と言われた。
「でも、昨日、確かに……!」
焦る翔太を見て、司書は困ったように言った。
「……もしかして、あの悪夢の本を見たんですか?」
「悪夢の本?」
司書は低い声で続けた。
「あの閉架書庫では、昔から“読んだ者に悪夢を見せる本”の話があるんです。
でも、その本は誰も見たことがないんです。
“見つけた人がいる”と言うたびに、その本は消えてしまうから」
「じゃあ、俺が見たあの本は……?」
「あなた、夢の中で“扉”を見ませんでしたか?」
翔太は息を呑んだ。
「……なぜそれを?」
「その扉を開いた人は、いずれ夢の中に消えるんです」
「冗談だろ……?」
司書は何も言わず、ただ静かに本棚を見つめていた。
翔太は逃げるように図書館を後にした。
それから数日間、悪夢は続いた。
そして、ある夜。
翔太は再び、あの廊下に立っていた。
扉の前に、すでに“開かれた”本が落ちている。
そして、その扉は半開きになっていた。
中から、こちらを覗いている何かがいた。
──コン……コン……
またノックが聞こえた。
今度は、扉の向こう側からではなく、翔太の後ろから。
翔太は気づいた。
「……俺、もう帰れないのか?」
次の瞬間、扉が開き──
翔太の姿は、この世から消えた。
終章──次に読むのは?
それから数日後。
図書館の閉架書庫で、別の学生が資料を探していた。
ふと、本棚の奥にある黒ずんだ本を見つけた。
背表紙には、赤い文字でこう書かれていた。
「立入禁止」
学生は何気なく、その本を開いた。
──「この本を読んだ者は、夢の中で扉を開く。
そして、そこへ踏み込めば、もう戻れない。」
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