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立入禁止の先にあるもの──怨霊退散の札の意味 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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立入禁止の鳥居

地元の山奥に、「絶対に行ってはいけない神社」がある。

正式な名前はもう誰も知らず、地元の人たちはただ「あの神社」と呼ぶだけだった。

そこへ続く山道の入り口には、古びた鳥居がある。

そして、その鳥居には大きく「立入禁止」と書かれた看板が掲げられ、無数の「怨霊退散」の札が貼られていた。

「……こんなに札を貼るほどヤバい場所なのか?」

友人のタカシと一緒に肝試しに来た俺は、興味本位で鳥居をくぐろうとした。

「やめとけって……」

タカシは怖がったが、俺はただの迷信だと思っていた。

だが、その時——

「やめなさい!!」

突然、背後から鋭い声が響いた。

振り向くと、そこには白髪の老人が立っていた。

「絶対に入るな」

「……あんた、誰ですか?」

「お前たち、知らずに来たのか?」

老人は険しい表情で俺たちを睨みつけた。

「ここは、かつて村人たちが封じた“何か”が眠る場所だ。」

「怨霊退散の札は、その封印を維持するためのもの……」

「それを超えたら、もう戻れんぞ。」

「……はぁ、脅かしてるだけでしょ?」

俺は笑い飛ばした。

だが、タカシは明らかに怯えていた。

「……行くのやめようぜ。」

「ビビリすぎだろ。」

俺は構わず鳥居をくぐった。

その瞬間——

「ザザザ……」

山の奥から、何かが動く音が聞こえた。

神社に近づくと

山道を進むにつれ、空気が異様に重くなっていくのを感じた。

「……やっぱり、戻ろうぜ。」

「ここまで来たんだし、もう少し進んでみよう。」

タカシの制止を振り切り、さらに進むと——

目の前に、ボロボロの神社が現れた。

神社の鳥居にも、社殿の壁にも、びっしりと「怨霊退散」の札が貼られていた。

そして、社の扉には大きな封印の縄が巻かれていた。

「……やばそうだな。」

そう思った瞬間、

「カタ……カタ……」

扉の奥から、何かが動く音がした。

そして——

「開けて……」

か細い声が、扉の向こうから聞こえた。

破られた封印

「……誰かいるのか?」

俺は無意識に扉に手をかけた。

「やめろ!!!」

タカシが叫んだが、

ドンッ!!!

突然、扉が内側から激しく揺れた。

「開けて……ここから……出して……」

低く響く声。

「出るな……出るな……」

怯えたような別の声も混じっている。

その時、俺は気づいた。

この「怨霊退散」の札は、俺たちを守るためではない。

封じられている何かを、外に出さないためのものだった。

「やばい……」

俺は急いで引き返そうとした。

しかし、その瞬間——

「開いた……」

背後で、扉がゆっくりと開く音がした。

逃げられない

俺とタカシは全速力で走った。

だが、背後から足音がついてくる。

「……こっちに、来い……」

何人もの囁き声が耳元で響く。

振り向いてはいけない。

そう思ったが、ほんの一瞬、視界の端で見てしまった。

無数の黒い影が、鳥居の方へ向かってきているのを。

「間に合え……!!」

鳥居まであと数メートル。

その時——

「グッ……!!!」

タカシの足が何かに掴まれた。

「タカシ!!」

振り返ると、タカシの足首を、黒い手が掴んでいた。

「……助けて……」

「待ってろ!!」

俺は必死にタカシの手を掴み、引き上げようとした。

だが、その時——

鳥居の向こうで、あの白髪の老人が待っていた。

「早く、こっちへ来い!!!」

俺は力を振り絞り、タカシを引っ張った。

「うおおおお!!!」

その瞬間、俺たちは鳥居の外へと転がり出た。

バンッ!!

背後で、何かが鳥居に激突する音がした。

俺たちは恐る恐る振り返った。

そこには——

無数の黒い影が、鳥居の向こうでこちらを睨んでいた。

しかし、彼らは鳥居から外へ出ることができない。

まるで見えない壁があるかのように。

「……間に合った……」

白髪の老人が、ほっと息をついた。

その後

俺たちはそれ以来、二度とあの山には近づかないと誓った。

しかし、あの日以来——

俺の部屋の壁に、ある文字が浮かび上がるようになった。

『開けて……』

あれは、まだそこにいる。

俺たちが、再び封印を破るのを待っている。

そして——

もし「怨霊退散」の札が剥がれたら、次は俺の番なのかもしれない。



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