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【不思議な話】「当選者は、あなたです」──謎のキャンペーン 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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奇妙な当選通知

ある日、俺のスマホに奇妙なメールが届いた。

件名:「おめでとうございます!特別キャンペーン当選のご案内」

「……なんだ、迷惑メールか?」

普段なら即削除するが、その日はなんとなく本文を開いてしまった。

そこにはこう書かれていた。

「あなたは、当社の特別キャンペーンに当選しました!」
「当選者特典として、"特別な体験"をご用意しています。」
「お申し込みは不要。本日中に自動で適用されます。」

「自動で適用……?」

何の応募もしていないのに当選?
不審に思いながらも、特に気にせずメールを閉じた。

——だが、その日から奇妙な出来事が始まった。

「キャンペーン適用中」

会社の昼休み、コンビニで弁当を買おうとレジに並んでいると——

「お客様、本日キャンペーン適用で、無料です」

「え?」

何も割引の表示はないし、ポイントも使っていない。
戸惑いながらも、そのまま店を出た。

さらに——

駅の改札を通ろうとすると、Suicaの残高が減らない。

「……おかしいだろ」

試しにカフェでコーヒーを注文すると、また言われた。

「お客様、本日キャンペーン適用で、無料です」

一体、何のキャンペーンなんだ?

「このキャンペーンは終了できません」

さすがに気味が悪くなり、昼休みにメールの送信元を確認した。

しかし、メールアドレスは「不明」と表示されている。

試しに返信しようとすると——

「このキャンペーンは終了できません。」

というエラーメッセージが返ってきた。

「……なんだよ、これ」

無料で得をしているはずなのに、なぜか背筋が寒くなった。

そして、その夜——

俺は恐ろしいことに気づいた。

「今日、俺は一円も使っていない」

それどころか——

自分の財布の中身も、まったく減っていない。

「……まさか」

震えながらスマホの銀行アプリを開いた。

——口座残高が、全く変動していない。

給料日から、一円も減っていなかった。

「当選者は、あなたです」

不安になり、スマホで「特別キャンペーン 当選」と検索してみた。

すると、一つだけ怪しい掲示板の書き込みを見つけた。

「誰か助けて。変なキャンペーンに当たった。お金が減らない。」

「まさか……」

書き込みを読み進めると、こう続いていた。

「最初はラッキーだと思った。でも、気づいたんだ。
これは"お金を使う権利"が消えていくキャンペーンなんだって。」

「何を買っても無料になる。
でも、ある日から"誰も"俺にお金を渡さなくなった。
給料も振り込まれないし、バイト代ももらえない。
友達に借りようとしたら、"お前にはお金はいらないだろ"って言われた。」

「そんなバカな……」

心臓がバクバクする。

「最後には、誰も俺を雇ってくれなくなった。
'お金が必要ない人間'には、社会は何も与えてくれない。
俺はただ存在してるだけの"不要な人間"になった。」

「このキャンペーンは、'人間としての価値'を奪うんだ。」

俺は震えながら最後の一文を読んだ。

「この書き込みを見た人へ。
もし、キャンペーンに当選したら、すぐに逃げろ。
俺みたいに'消える'前に——。」

最後の投稿は、5年前だった。

もう、戻れない

俺は急いでスマホの電源を切り、コンビニへ走った。

「すみません、これを現金で払います!」

店員は微笑みながら言った。

「お客様、本日キャンペーン適用で、無料です」

——逃げられない。

もう俺は、"金を使うことが許されない存在"になったのかもしれない。

そして、次の日——

会社に行くと、俺のデスクがなくなっていた。

「おい、俺の席、どうした!?」

同僚たちは怪訝そうな顔をして言った。

「……え? 誰?」

俺は叫んだ。

だが、誰も俺の名前を知らなかった。

財布を取り出し、社員証を確認しようとした。

——しかし、そこには何もなかった。

俺の名前が刻まれたはずのカードは、ただの白いプラスチックの板になっていた。

そして、その夜——

再びスマホに通知が届いた。

「キャンペーンは継続中です。」

俺は、このまま"消えて"しまうのだろうか——。



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