古い日本家屋に住む祖父が亡くなり、遺品整理のために俺は実家へ帰省した。
祖父は昔ながらの厳格な人で、家には仏間や掛け軸が並ぶ和室がいくつもあった。
「ここも片付けなきゃな……」
仏間の整理をしていると、一枚の掛け軸が目に留まった。
それは、他の掛け軸とは異なり、異様な雰囲気を放っていた。
墨で描かれた禍々しい鬼の姿。
下部には、朱色の文字でこう書かれていた。
「怨霊退散」
「……なんだこれ?」
不気味に思いながらも、その掛け軸を片付けようとした瞬間——
背後から、何かが"ふっと"息を吹きかける感覚がした。
目次
掛け軸の異変
ゾクリと背筋が凍る。
「気のせい……か?」
だが、違和感は続いた。
掛け軸の鬼の絵が——わずかに微笑んでいるように見えた。
「……いや、気のせいだろ」
そう自分に言い聞かせ、掛け軸を丸めて押し入れにしまった。
だが、その夜——
怨霊の囁き
深夜、ふと目が覚めた。
理由はわからないが、異様な気配を感じた。
「……?」
廊下の先、仏間の扉がわずかに開いている。
俺は恐る恐る近づき、そっと中を覗いた。
すると——
押し入れにしまったはずの掛け軸が、元の位置に戻っていた。
「……ありえない」
震えながら掛け軸を見つめると、そこに描かれた鬼の顔が——
明らかに"笑って"いた。
そして、背後から——
「掛けるな……」
低い声が囁いた。
掛け軸の意味
次の日、慌てて寺の住職に相談した。
すると、住職は顔を曇らせた。
「……この掛け軸、決して処分してはいけません。」
「えっ?」
「これは"怨霊を封じるためのもの"です。掛け軸に描かれた鬼は"護り神"のような存在。これがなければ、屋敷に封じられている怨霊が解き放たれるでしょう」
「……じゃあ、昨日押し入れにしまったのは……」
住職は静かに言った。
「怨霊が、出ようとしたのです。」
背筋が凍った。
俺は急いで掛け軸を元の位置に戻した。
その瞬間——
家の中に響いていた"何か"の気配が、ふっと消えた。
その後
その掛け軸は、今も実家の仏間に掛けられている。
怨霊を封じるために。
そして、俺は二度と——
あの掛け軸に触れようとは思わなくなった。
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