目次
序章──古びたトンネル
会社員の田中翔太は、久しぶりの休日を利用して、気晴らしに郊外へドライブに出かけていた。
カーナビの指示に従いながら山道を進んでいると、目的地へ向かう最短ルートとして「古いトンネル」が表示された。
「こんなところにトンネルがあったっけ?」
地図にも情報はなく、ネットで検索しても何も出てこない。
「まあ、通れるならいいか」
そう思い、翔太はそのトンネルへ車を進めた。
第一章──子どもの姿
トンネルの中は、薄暗く長かった。
ライトをつけても、出口が見えないほど奥行きがある。
「結構長いな……」
慎重に車を走らせていると、突然、視界の端に何かが映った。
子どもだ。
「え……?」
トンネルの端、歩道のようなスペースに、小さな子どもが立っている。
白いシャツに半ズボン、短い髪の少年。
「なんでこんなところに子どもが?」
車を減速し、窓を開けて声をかけようとした瞬間。
──スッ……
少年は、無表情のままトンネルの壁の中へ消えた。
翔太は心臓が止まりそうになった。
「……今の、見間違いか?」
だが、鼓動が落ち着く間もなく、また前方に別の子どもが立っているのが見えた。
しかも、一人ではない。
二人、三人……。
全員、無表情で翔太を見つめている。
そして、そのままゆっくりと壁の中へと消えていった。
「……なんなんだ、ここ?」
翔太はアクセルを踏み込み、トンネルの出口へ向かった。
しかし──
どれだけ走っても、トンネルは終わらなかった。
第二章──抜けられないトンネル
「おかしい……こんなに長いはずがない」
焦りながら走り続ける。
だが、ライトの先には、ずっと同じ風景が広がっている。
バックミラーを見ると、入口も消えていた。
そして──
子どもたちが、トンネルの両側にずらりと並んでいた。
皆、翔太をじっと見つめている。
その瞬間、翔太の脳裏にある記憶が蘇った。
──昔、トンネルで遊んでいた子どもたちが、突然消えたという話を聞いたことがある。
「まさか……」
彼らが、ここにいるのか?
第三章──子どもたちの声
車を止め、震える手でドアを開ける。
子どもたちは何も言わず、ただ無表情で佇んでいる。
すると、翔太の耳に、小さな声が聞こえた。
──「お兄さん、いっしょに行こう」
翔太は凍りついた。
「……どこへ?」
──「みんなで、帰るんだよ」
「帰る?」
子どもたちは一斉に翔太を指さした。
その瞬間、視界が真っ白に染まった。
終章──戻ってきたはずなのに
気づくと、翔太はトンネルの出口の手前にいた。
「……夢?」
だが、車のエンジンはかかったままだし、時計も進んでいる。
「本当に、戻ってきたのか?」
不安になりながらも、慎重に車を発進させる。
トンネルを抜け、後ろを振り返ると、そこには……
何もなかった。
「……トンネルが、消えてる?」
慌てて地図を確認するが、やはりそんな道は存在しなかった。
「じゃあ、俺が通ったのは……?」
後日、スマホのカメラフォルダに、見覚えのない写真が保存されていることに気づいた。
震える手で開くと、そこには──
トンネルの中で、ずらりと並ぶ子どもたちの姿が写っていた。
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