目次
不思議な居酒屋
その居酒屋は、駅から少し離れた路地裏にひっそりと佇んでいた。
古びた木の看板には、ただ一文字「酒」とだけ書かれている。
俺たちは、仕事帰りにふとその店を見つけた。
「こんなところに居酒屋あったか?」
「まあ、酒が飲めりゃどこでもいいだろ」
俺と同僚の田村は、何の気なしに暖簾をくぐった。
静かな店内と奇妙な客
中に入ると、古風な内装の割には、妙に静かだった。
客はほとんどいない。奥のカウンターにひとり、着物姿の男が座っているだけだ。
店主は無口な男で、俺たちが注文を告げると、ただ黙って酒を注いだ。
「……この店、落ち着くな」
田村がそう言うのも納得だった。妙に居心地がいい。
俺たちは、ゆっくりと杯を傾けながら、静かな時間を楽しんだ。
しかし——
俺たちが飲み進めるうちに、ある異変に気づいた。
消える酒、消える男
「おかしいな……」
田村が、さっきから首を傾げている。
「どうした?」
「いや、さっきまで飲んでた酒が……減ってない気がするんだ」
確かに、俺たちはもう何杯も飲んでいるはずなのに、杯の酒が減っていない。
それどころか——
「……あの人、さっきからずっと飲んでるよな?」
着物姿の男は、黙々と杯を傾け続けている。
だが、よく見ると……
彼の顔が、少しずつ薄くなっていくように見えた。
「おい、帰ろう」
突然、田村が立ち上がる。
俺も直感的に「ここはおかしい」と思い、金を置いて席を立った。
その瞬間——
カウンターの男が、ふっと掻き消えた。
まるで、そこに最初から誰もいなかったかのように。
消えた居酒屋
俺たちは、無言で店を飛び出した。
そして振り返ると——
居酒屋は、そこにはなかった。
ただの古びた空き地が広がっているだけ。
「な……なんだよこれ……」
田村が震えながらつぶやく。
あの店は? あの男は?
俺たちが飲んだ酒は、なんだったのか……?
その後の話
それ以来、俺たちはあの店を探してみたが、どこにも見つからなかった。
ただ、一つだけ不思議なことがある。
俺も田村も、あれ以来、酒を飲んでもまったく酔わなくなったのだ。
まるで、俺たちの酔いは、あの男が全部飲み干してしまったかのように……。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

