目次
幻の酒「夢見月」
酒好きの俺は、各地の地酒を巡るのが趣味だった。
ある日、古い酒屋の主人がふとこう言った。
「お客さん、『夢見月』って酒を知ってるかい?」
「夢見月?」
聞いたことのない名前だった。
主人は微笑みながら、小さな瓶をカウンターに置いた。
「これはな、一夜限りの幻の酒だ。飲んだ者は、夢の中で不思議な場所へ招かれるという。」
ラベルには、淡い月が描かれていた。
「珍しい酒ですね。一本いただきます。」
俺は半信半疑のまま、その酒を買って帰った。
夢の中の宴
その夜、俺は「夢見月」をグラスに注いだ。
ほのかに甘い香りが漂い、口に含むとまるで月の光を飲んでいるような優しい味が広がる。
「うまい……」
そう思った瞬間、意識がふっと遠のいた。
──気がつくと、俺は見知らぬ場所にいた。
目の前には、満月の下で賑やかに広がる幻想的な宴。
着物を着た人々が酒を酌み交わし、どこからか笛の音が聞こえる。
「ようこそ、『夢見月の宴』へ。」
振り向くと、艶やかな衣を纏った女性が微笑んでいた。
「あなたも、この酒を飲んだのね。」
「……ここは?」
「『夢見月』を飲んだ者だけが訪れる、一夜限りの幻の世界よ。」
俺は驚きながらも、出された盃を受け取り、再び酒を飲んだ。
味は現実と変わらず、まろやかで優しい。
不思議と心が落ち着き、宴の楽しげな雰囲気に身を委ねた。
目覚めと余韻
どれくらい時間が経っただろう。
気づくと、俺は自分の部屋の布団の上にいた。
時計を見ると、まだ深夜の2時。
「あれは……夢だったのか?」
だが、枕元には空になった「夢見月」の瓶が置かれていた。
そして、手元には月の模様が描かれた小さな盃が残されていた。
あの夢の中の宴は、本当に幻だったのか──?
俺は静かに盃を見つめ、夢見月の余韻を味わった。
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