目次
奇妙な満月
「なあ、今日の月、変じゃないか?」
深夜、会社帰りの田中(たなか)は、コンビニの前でコーヒーを飲みながら、同僚の佐々木(ささき)に声をかけた。
「何が?」
「ほら、月が……二つある」
佐々木が顔を上げると、夜空には満月が二つ浮かんでいた。
一つは、いつも見慣れた明るい月。
もう一つは、それより少し小さく、ぼんやりと歪んだ影のような月だった。
「……なんだ、アレ?」
二人はしばらく見つめていたが、酔っているせいかもしれないと考え、そのまま別れた。
しかし、田中は妙な違和感を拭えず、スマホで検索してみた。
「月が二つ 見える 理由」
しかし、それらしい記事は見つからない。
「……まあ、疲れてるだけか」
そう自分に言い聞かせ、田中は帰路についた。
異変の始まり
翌日、出社した田中は、佐々木の姿がないことに気づいた。
「おかしいな……昨日、普通に帰ったはずだけど……」
昼休みになっても連絡がつかず、嫌な予感がした田中は、佐々木の家に向かうことにした。
インターホンを押しても応答がない。
念のため、ドアノブを回してみると——
開いた。
「佐々木? いるのか?」
部屋に入ると、異様なほどの静寂が広がっていた。
リビングには、スマホが置かれており、画面には最後に検索したキーワードが残っていた。
『月が二つ 見えたら 終わり』
「……何だよ、これ……」
その時——
トン、トン、トン……
窓を叩く音がした。
驚いてカーテンを開けると、そこには——
「佐々木」が立っていた。
ただし——
──顔が、真っ黒だった。
月を見た者の末路
田中は言葉を失った。
窓の向こうの佐々木は、真っ黒な顔のまま、微笑んでいるように見えた。
しかし、目も鼻も口もなかった。
それなのに——
「田中……お前も、見たよな?」
脳内に直接響くような声がした。
「……ッ!!」
田中は反射的に部屋を飛び出し、エレベーターも使わず階段を駆け下りた。
佐々木はもう、この世のものではない。
いや、もしかすると——佐々木ではなかったのかもしれない。
走りながら、田中は思い出した。
昨夜、月が二つあったとき、どちらが本物なのか考えていなかった。
もし——
──どちらも本物ではなかったとしたら?
怖くなって空を見上げると、そこには——
やはり二つの月が浮かんでいた。
しかし、よく見ると……
そのうちの一つが、こちらを見ている気がした。
逃れられない夜
田中は必死で家に帰り、カーテンを閉めた。
「見なければ、大丈夫……見なければ……」
しかし、スマホの画面には、またしても勝手に検索された文字が表示されていた。
『月が二つ 見えたら 逃げられない』
「ふざけるな……!」
混乱しながら、田中はニュースサイトを開いた。
そこで、奇妙な記事を見つけた。
『昨夜、都内で行方不明者が相次ぐ』
記事には、行方不明者の名前が載っていた。
──佐々木の名前があった。
「……え?」
震える手でスマホを置き、深呼吸する。
──トン、トン、トン……
窓を叩く音が、また聞こえた。
恐る恐るカーテンを開ける。
そこには、昨夜と同じように——
──真っ黒な顔の佐々木が、笑っていた。
「田中……今夜は、月が三つあるぞ?」
田中は、恐怖で声を失った。
空を見上げると——
──確かに、月が三つ浮かんでいた。
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