目次
台風の日の退屈な時間
その日、台風が直撃して学校は休校になった。
外は暴風雨、窓ガラスがガタガタと鳴り、停電も起こりそうなほどだった。
やることもなく、俺は部屋でスケッチブックを取り出し、適当に絵を描き始めた。
最初は風景や好きなキャラクターを落書きしていたが、ふと気づくと「見覚えのない家と、そこに立つ誰か」の絵を描いていた。
描いた記憶もないのに、手元にはしっかりと描き上げられた奇妙な絵。
特に印象的だったのは、家の窓際にぼんやり立つ黒い人影。
「……これ、いま描いたのか?」
自分でも覚えていないその絵を、不気味に思いながらもそのまま机の上に置いておいた。
窓の外の一致
その夜、台風はさらに勢いを増し、雨風の音で目が覚めた。
ベッドの横の窓を何気なく見ると、カーテンの隙間から黒い人影が立っているのが見えた。
「……え?」
慌ててカーテンを開けたが、外には誰もいない。
でも、視線を下ろすと、さっき机に置いていたあの絵が床に落ちていた。
風で飛ばされたのかと思ったが、絵を見てゾッとした。
人影の位置が、さっき窓の外で見た影と全く同じ場所になっていた。
書き加えられる絵
翌朝、台風が過ぎて青空が戻った。
妙な違和感を引きずりながら、絵を改めて見直すと、昨夜よりも人影が窓から室内側へ一歩進んで描かれていた。
「……俺、こんなふうに描いてたか?」
手を加えた覚えはない。
それから毎日、絵は少しずつ変わっていった。
人影は、窓から入り、部屋の中央まで進み、やがてベッドの横に立つ位置まで描かれるようになっていた。
まるで、何かが少しずつ近づいてきているかのように。
絵の完成
そして、迎えた次の台風の日。
再び雨風が強まる夜、ふと目が覚めた俺は、机の上の絵に目をやった。
そこには、ベッドの上に横たわる自分が描かれていた。
そして、その絵のすぐ隣には、黒い人影がこちらを見下ろしていた。
恐怖で声も出せず、目を閉じた。
翌朝、目が覚めた時、机の上のスケッチブックは、真っ白なページに戻っていた。
あの絵は、消えていた。
——まるで、役目を終えたかのように。
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