目次
不自然な失踪
高校時代の友人、斉藤が突然いなくなったのは、社会人2年目の春だった。
彼は地元の工場で働き、休日にはよく一緒に飲みに行く仲だった。
けれど、ある日から連絡がつかなくなった。
LINEは既読にならず、電話も「この番号は現在使われておりません」と流れる。
おかしいと思い、実家に行くと、斉藤の両親は困惑した顔でこう言った。
「……斉藤なんて子、うちにはいませんよ?」
消された痕跡
その時は「冗談だろ」と笑ったが、家の表札は確かに別の名字になっていた。
卒業アルバムをめくっても、斉藤の写真がどこにもない。
SNSのアカウントも、共通の知り合いとの写真も、メールも。
すべてが存在しないことになっていた。
まるで——初めからこの世にいなかったかのように。
思い出せない違和感
ただひとつだけ、記憶に強く残っている。
斉藤と最後に飲んだ夜、彼が酔いながらこんなことを言った。
「知っちゃいけないこと、知ったかもしれない。」
「何の話だよ」と聞き返すと、彼は黙り込んだまま、それっきりだった。
もしかして、あれが原因なのか。
あの日の記憶だけはやけに鮮明なのに、そこから先が不自然に曖昧だ。
写真の奥に
引越しの準備をしていた時、古いスマホの中に保存された写真を整理していた。
その中に、一枚だけ斉藤と撮った写真があった。
安心したのも束の間、よく見ると、斉藤の顔だけが白く塗りつぶされていた。
加工した覚えはない。
そして、写真の端には、こんな文字がうっすら浮かんでいた。
「知った人間は、いずれ消える。」
次は自分の番
その日から、周囲の友人たちが一人、また一人と俺の記憶から薄れていった。
会話を交わしたはずなのに、顔も名前も曖昧になる。
今ではもう、斉藤の顔すら思い出せない。
自分も、誰かの記憶から——この世から——静かに消えていく予感だけが、確かに残っている。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

