目次
不意に割れた写真立て
一人暮らしを始めて間もない頃、実家から持ってきた家族写真の写真立てをリビングの棚に飾っていた。
特に意識することもなく、いつもの日常を過ごしていたある日。
静かな部屋の中で、突然——
パリーンッ!
何の前触れもなく写真立てのガラスが割れた。
落ちたわけでも、揺れたわけでもない。
ただ、棚の上で静かに飾られていただけの写真立てが、まるで内側から破裂したように砕け散った。
不思議で仕方なかった。
不思議な偶然
慌てて実家に電話をかけると、母の声がどこか沈んでいた。
「実はね……おばあちゃんが今朝倒れたの」
まるで同じ瞬間に知らせるように、写真立てが割れた時間と、おばあちゃんが倒れた時間はぴったり一致していた。
母は「虫の知らせかもしれないね」と言ったが、その時はまだ信じ切れなかった。
割れたガラスの意味
数日後、おばあちゃんは静かに息を引き取った。
実家に帰り、仏壇に手を合わせた夜。
母がふとこんな話をした。
「あなたの部屋に飾ってた写真立て、割れたのって、もしかしたら“挨拶”だったのかも」
母曰く、スピリチュアルの世界では「写真立てが突然割れる=別れのサインや警告」と解釈されることが多いらしい。
「家族写真は思いが宿りやすいから、向こうから最後のメッセージを送ってきたんじゃない?」
最後の夢
葬儀が終わった夜。
疲れ果てて眠った俺は、おばあちゃんの夢を見た。
何も話さず、ただニコニコ笑っているだけの夢だった。
目が覚めると、不思議と悲しみよりも安心感が残っていた。
きっと、あの割れた写真立ては偶然じゃなかった。
「さよなら」を伝えるために、形を借りて現れたんだ。
それから俺は、壊れた写真立てを処分せず、ガラスだけ新しく入れ替えて飾り続けている。
今もふと目をやると、写真の中のおばあちゃんの笑顔が、何かを語りかけている気がする。
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