居酒屋の個室、仕事終わりの飲み会。焼き鳥の煙とビールの泡がほどよく気持ちを緩めたころ、後輩のタカシが、ぽつりと話し始めた。
「先輩、ちょっと聞いてほしいんすけど……。実は、1週間前にめちゃくちゃ怖い体験したんすよ。」
冗談半分のノリかと思ったが、タカシの顔は酔いも抜けたように真剣だった。
目次
変なエレベーター
タカシの話によれば、その日は仕事で遅くなり、会社のビルで一人、エレベーターを待っていたそうだ。
「夜10時くらいでした。ビルにはもう誰もいなくて、俺だけ。エレベーターが5階から降りてきたんすけど……開いた瞬間、誰も乗ってないのに"開いた音"の直後に、誰かが降りる足音だけが聞こえたんです。」
最初は自分の聞き間違いかと思ったらしい。
でも、降りる足音は、確かにカツン……カツン……と、自分のすぐ横を通っていった。
「おかしいっすよね。誰もいないのに。しかも、その足音、階段の方に消えていったんすよ。」
不自然な置き土産
その後、タカシは気味悪さを振り切るようにエレベーターに乗った。
ボタンを押し、扉が閉まるその瞬間——
「チリン……」
スーツの裾から、何かが地面に落ちた音がした。
「何かなと思って見たら、古い鈴が落ちてたんですよ。 全然覚えがなくて、手に取った瞬間、ビルの電気がバチンと消えたんす。」
一瞬真っ暗になり、非常灯がついた頃には鈴は消えていたという。
後日談
「それ以来、夜になると、家の玄関でカツン……カツン……って、足音が聞こえるんですよ。」
タカシは冗談めかして笑ったが、手には薄く震えが残っていた。
「先輩、アレ、あの日のエレベーターから降りた"何か"、まだ俺んちにいるのかもしれないっすよ……。」
その話を聞いた瞬間、飲み屋の障子の向こうから、コツン……コツン……と、靴音のようなものが響いた。
酔いが一気に醒める音だった。
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