目次
深夜の集団
大学のサークル仲間と飲み会を終え、終電を逃した拓海(たくみ)は、友人の歩美(あゆみ)と2人で駅近くの裏道を歩いていた。
夜道は静まり返り、街灯の少ない通りは不気味なくらい暗かった。
「この道、雰囲気嫌だな」
そうつぶやいた矢先だった。
先の角から、十数人の集団が黙って歩いてくるのが見えた。
制服のような服装に無表情の人影たち。
普通なら話し声の一つも聞こえてきそうなのに、彼らは一言も発しない。
そして、どの顔も——全員が同じ顔をしていた。
すれ違いの異変
拓海と歩美は思わず道の端に寄り、集団が通り過ぎるのを待った。
しかし、すれ違いざま、歩美がポツリと呟いた。
「ねえ、いまの……一人だけ、私の顔を見てた。」
集団のうち、最後尾の一人が、無表情のままじっと歩美を凝視していたという。
拓海にはその瞬間が見えていなかった。
「気のせいだよ。こんな夜だし、不気味に見えるだけだろ」
そう言いながら振り返った二人の目の前に、さっきの同じ集団が再び現れていた。
「……嘘だろ?反対方向に歩いてたはずなのに……」
しかも彼らの歩き方も、さっきと全く同じだった。
一人一人の歩幅、動き、顔の向きまで。
まるで同じ映像を繰り返し再生しているようだった。
集団の消失
怖くなった二人は、裏道を抜けてコンビニに駆け込んだ。
店内は明るく、ホッと胸をなでおろす。
しかし、店のガラス越しに外を見た瞬間、言葉を失った。
先ほどの集団が、コンビニの前を何度も同じ順番で通り過ぎていた。
数分間のうちに、少しずつ人数が減っていく。
最後は、最後尾の「顔を見てきた」あの一人だけが、コンビニの前で立ち止まった。
こちらをじっと見つめる。
そして、次の瞬間——
ふっと消えた。
消えた友人
翌朝、歩美は大学に来なかった。
LINEも既読にならない。
家族や他の友人たちに聞いても、「歩美?そんな子いたっけ?」と誰も覚えていなかった。
SNSもメッセージも、すべての履歴から歩美の存在が消えていた。
まるで最初からいなかったかのように。
その夜、拓海は恐る恐る裏道を通った。
そして、同じ場所に差しかかったとき。
角を曲がって現れたのは、あの集団。
今度は、集団の最後尾に——
歩美の顔をした誰かが歩いていた。
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