目次
謎の金魚
夏祭りの夜、俺はふと立ち寄った金魚すくいの屋台で、一匹だけ異様に大きく、黒目がちで妙に澄んだ目をした金魚をすくった。
店主は笑って「こいつは長生きするよ」とだけ言い、紙袋に入れてくれた。
家へ持ち帰り、きれいなガラス水槽に移してから、変わったことが起き始めた。
じっとこちらを見つめる魚
水槽の前を通るたび、金魚がまるで目で追ってくるような感覚に襲われた。
「魚って、こんなに人を見るものだっけ……?」
日に日にその目は、人間じみた感情を宿しているように見えた。
食事の時間でもないのに、俺が部屋に入ると水面近くでじっとこちらを見上げている。
本当に金魚なのか?
ある晩、ふと気になってスマホで金魚の種類を調べた。
似た姿の品種はあったものの、どれも目があんな風に大きく、黒目がちな個体は存在しない。
「……この魚、本当に金魚なのか?」
そう疑いながら水槽を覗き込んだ瞬間——
水槽のガラス越しに映る自分の目と、金魚の目がぴったり同じ高さに合った。
その時、不思議なほどハッキリと「言葉にならない何か」が頭に直接流れ込んでくる感覚があった。
夜ごと変わる姿
それからというもの、夜になると金魚の形が少しずつ変わり始めた。
ヒレが細長く伸び、尾びれがまるで指のように分かれ、次第に魚とも呼べない形になっていった。
だが朝になると、また元の「金魚の姿」に戻っている。
この繰り返しが何日も続いた。
金魚の正体
ある夜、目を覚ますと水槽から水音が聞こえた。
見ると、金魚は完全に「何か別のもの」へと変わり、ガラスの内側からこちらを見つめていた。
それはもう魚ではなく、人間のような目を持ち、小さく静かに口を動かしていた。
そして、俺ははっきり聞こえた。
「つぎは、そっちの番だよ」
翌朝、金魚はまた元の姿に戻っていた。
ただ、水槽の中の水位がほんのわずかに減っていた。
まるで、夜の間に誰かが水を飲んだかのように。
それ以来、俺は水槽を直視できなくなった。
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