目次
商店街の端のお面屋
夏祭りの日、大学生の玲奈(れいな)は、地元の古い商店街を友人たちと歩いていた。
屋台の明かりが並ぶ通りの一番奥、シャッター街の隅にだけ、ひっそりと開いている小さなお面屋があった。
「え、こんな店あった?」
誰も見たことのない店だが、店先には狐、天狗、おかめ、般若……様々な古びたお面が吊り下げられている。
吸い寄せられるように、玲奈は一枚の白い狐のお面を手に取った。
その瞬間——
お面の裏に、自分の名前がうっすら書いてあるのを見つけた。
顔が合うお面
「これ、偶然……?」
困惑しながらお面を眺めていると、店の奥から静かな声がした。
「それは、君の顔に合う面だよ。」
いつの間にか現れた、白髪の店主が微笑んでいる。
「顔に……合う?」
「ええ。面は顔を選ぶんです。ピタリとはまるものは、元々その人のもの。」
冗談半分に思いながらも、お面を顔に当ててみた。
すると、不思議なほどぴったりと吸い付く感覚がした。
外そうと手を伸ばした瞬間、店主がぽつりと呟いた。
「それを外したとき、本当の顔が戻るとは限らないよ。」
お面の中の世界
急に怖くなり、お面を外す。
だが、外したあと、友人たちの態度がどこかおかしい。
「……玲奈? え、誰?」
「変な人がいる……」
スマホでインカメを確認すると、画面には見知らぬ女性の顔が映っていた。
慌てて再びお面をつけると、視界が少し歪み、外した瞬間——元の顔に戻っていた。
店主は静かに笑っていた。
「お面の世界はね、顔だけじゃなく、存在まで塗り替えることがあるんだ。」
お面屋の真実
それ以来、玲奈は二度とその店に近づかなかった。
しかし、数日後、商店街のその場所に行くと、お面屋は影も形もなく消えていた。
代わりに、古い貼り紙だけが電柱に残っていた。
そこにはこう書かれていた。
『顔に合ったお面、お譲りします。
不要になった方は、次の持ち主へ手渡してください。』
その貼り紙の下には、自分が手にした狐面の写真がプリントされたモノクロ画像が貼られていた。
まるで次の持ち主を探しているかのように——。
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