目次
【ある夜の寝言】
小学2年生の陽翔(はると)は、元気で人懐っこい普通の男の子だった。
ある晩、母親の恵美(えみ)は、陽翔が寝静まった後、リビングで家事をしていると、寝室からかすかな声が聞こえてきた。
「……あれ?寝言?」
耳を澄ますと、陽翔が布団の中でぽつりとこう言った。
「おじいちゃん、そんなとこにいちゃダメだよ……川、流れるよ……」
【知らない記憶】
翌朝、母はふと気になって陽翔に聞いた。
「昨日、寝言で"おじいちゃん、川が流れるよ"って言ってたけど、どんな夢見たの?」
しかし、陽翔は首をかしげる。
「え?夢なんか見てないよ。おじいちゃんって、誰?」
実は、陽翔が生まれる前に母方の祖父は川で事故死していた。
陽翔はそのことを一度も聞かされたことがない。
【再び寝言が】
その夜も、陽翔はまた寝言を言った。
「おじいちゃん、流れちゃった……あぶないって言ったのに、聞こえなかったんだね。」
あまりにも具体的で、しかも事故の詳細と一致していた。
母は寒気がした。
家族の誰も、陽翔にその話をしたことはない。
【不思議な繋がり】
数日後、親戚が遊びに来たとき、陽翔がぽつりと聞いた。
「おじいちゃん、青い服着てたの?」
その一言で、親戚は絶句した。
事故当日、祖父は青い作業着を着て川に落ちたのだ。
「どうして知ってるの?」と大人たちが尋ねると、陽翔はただこう答えた。
「寝てると、おじいちゃんと川の橋の上で話すんだよ。」
【夜だけ会える存在】
それ以降も、陽翔は何度も寝言でこうつぶやく。
「今日も橋の上で待ってるよ。
今度は間違えずに、帰れるかな?」
夢なのか現実なのか曖昧な言葉。
陽翔は、眠るたびに「誰か」と会い続けているようだった。
そして、ある日を境に——寝言はぱったりと止んだ。
母が「おじいちゃんの夢、最近見ないの?」と聞くと、陽翔はニコリと笑って言った。
「もう、川を渡っちゃったんだって。だから、もう来ないよ。」
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