目次
軽い遊び心だったはずが
大学生の涼(りょう)は、サークルの友人たちと心霊スポット巡りを趣味にしていた。
その日も、古い神社の廃墟で「変わったお札が貼られている」という噂を聞きつけ、夜中に忍び込んだ。
そこには、読み取れない古文のような文字が並んだ、ボロボロのお札が何枚も貼られていた。
悪ふざけ半分で涼は、スマホで写真を撮り、1枚だけお札を剥がして持ち帰ってしまった。
「誰もいないし、何も起こらないだろ」
その時はそう笑っていた。
でも、それがしでかした“最初の間違い”だった。
異変の始まり
翌日から、部屋の中に妙な違和感が漂い始めた。
空気が重く、どこからか微かに呻くような音が聞こえてくる。
夜になると、部屋の壁や天井から、カリ……カリ……コツン……と何かが動き回る音が続いた。
眠りかけた時、耳元で小さく誰かが囁いた。
「……しでかしたな。」
飛び起きた涼は、お札を引き出しに突っ込んだ。
しかし、その夜から夢に黒い何かが現れ始めた。
魍魎召喚の儀式
慌てて心霊好きの友人に相談すると、こう言われた。
「それ、マズいぞ。あのお札は、封印札だ。
お前が剥がしたことで“魍魎召喚の条件”が整ったんだ。」
魍魎──
それは、形も性質も定まらない、人の悪念を集めた存在。
封印が破れると、呼び出した人間のもとへまず現れ、しでかした代償を回収する。
「剥がしたの、戻すしかない。でも時間が経ちすぎてる。もう、お前のそばにいるはずだ。」
姿を現した魍魎
その夜、涼は部屋の照明を消した瞬間、暗闇の中から何十もの目がこちらを見つめているのを感じた。
視界の端に、ゆっくりと黒く形を変える塊が現れる。
人の形をしているかと思えば、動物の足、触手のようなものを伸ばし、部屋の天井や床を這い回る。
そして耳元で、また囁かれた。
「しでかしたことの代償、もらいに来たよ。」
その言葉と同時に、身体の感覚がどんどん消えていく。
手足が自分のものじゃないように重くなり、視界がぐにゃりと歪む。
空の部屋
翌朝、友人が心配して涼のアパートを訪ねた。
だが、室内は家具も荷物も、涼の存在すら跡形もなく消えていた。
あるのは、机の上に置かれたスマホと、剥がしたあのお札だけ。
お札は以前よりも新しく、ピンと張って置かれていた。
そのお札には、墨の文字でこう書かれていた。
『代償 回収 完了』
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

