目次
深夜の駅で
仕事帰り、最寄り駅に着いたのは夜11時を過ぎていた。
その駅は出口が二手に分かれていて、右の階段と左の階段が並んでいる。
いつもは右側を選ぶ。家への近道だから。
だが、その夜、なんとなく左の階段を降りようと足を向けた瞬間、駅員の制服を着た中年男性に声をかけられた。
「帰るなら右の階段にしておきなさい」
不意を突かれて立ち止まったが、駅員はすぐに向こうへ行ってしまった。
なんだか気味が悪くなり、素直に右の階段を選んだ。
事故現場
翌朝、駅は異様な空気に包まれていた。
改札付近には警察官と規制線。
昨夜、左の階段の天井が騰落する事故があったという。
幸いにもけが人はいなかった。
「……昨夜、もし俺が左の階段を降りていたら」
ぞっとした。
だが、ふと気になって駅員室を覗いた。
昨夜声をかけてきた駅員を探そうとしたのだ。
しかし、対応してくれた駅員はこう言った。
「昨日の時間は、もう窓口もホームも無人ですよ。」
「じゃあ俺に声をかけたあの人は?」
「え? この駅でそんな人、いませんよ。」
右か左か
後日、地元の人に聞くと、その左の階段では過去にも事故が何件も起きていることを知った。
しかも、事故が起こる前には決まって“右の階段を使いなさい”と声をかけられた人がいるという噂がある。
あの夜、俺を止めたのは事故で亡くなった誰かだったのかもしれない。
それ以来、俺は夜遅く駅に着くたび、必ず右の階段を使っている。
もし、あなたの耳にもこう聞こえたら——
「帰るなら右の階段にしておきなさい」
どうか逆らわず、右を選んでほしい。
選ばなかったら、もう帰れないかもしれない。
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