目次
飲み会の始まり
金曜の夜、会社の飲み会が終わり、先輩の佐藤(さとう)と後輩の田辺(たなべ)は、二軒目の静かな居酒屋に腰を落ち着けていた。
少し酔いも回り、くだけた話になってきた頃、田辺がふと、グラスを傾けながら言った。
「先輩、そういえば俺、1週間前にちょっと……変な体験したんですよ。」
「ん?怖い話か?飲み屋で聞くには最高だな。聞かせろよ。」
田辺は一瞬、冗談を言うかのように笑ったが、すぐ真顔になった。
エレベーターの男
「先輩、先週の夜勤の日の話なんです。仕事終わって、社宅のエレベーターに乗ったんですよ。そしたら、4階まで誰もいないはずのエレベーターが……途中の階で止まったんです。」
「……真夜中だろ?珍しいな。」
「ええ。で、ドアが開いたら、**スーツを着た男が乗ってきたんです。顔が、見えなかったんですけど、やたらスーツが湿ってて。変だなって思ったんですよ。」
田辺は焼酎を少し飲んで、続けた。
「でもまあ、酔っ払いか何かだろうと思ってたんですけど。エレベーターが自分の階に着いて降りたら……男も一緒に降りたんです。」
「同じ階?」
「はい。でも、足音がしないんですよ。夜の静かな社宅なのに、自分の足音だけしか響かなくて……怖くなって振り返ったら、その男、エレベーターの中にまだ立ってたんです。」
壊れたエレベーター
「で、その日はなんとか部屋まで逃げて、次の日、管理人さんに『昨夜エレベーターに変な人がいた』って話したんです。」
「そしたら管理人さん、こう言ったんですよ。」
『ああ……また、乗ってきたんだ。あのエレベーター、2年前に男の人が飛び降りた日から時々誰か乗ってくるんだよ。』
「ぞっとしましたよ……。」
先輩の反応
田辺が話を終えると、佐藤は冗談めかしてグラスを持ち上げた。
「そりゃ怖いな。で?今はもう大丈夫なんだろ?」
田辺は少しだけ間を置いて、静かに答えた。
「……たぶん。今朝も、エレベーター乗ったら湿ったスーツの匂いがしましたけどね。」
その瞬間、居酒屋の入口の自動ドアがひとりでに開き、冷たい風が流れ込んできた。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

