目次
【怪異の始まり】
社会人になったばかりの高橋翔（たかはししょう）は、都内の格安アパートに引っ越した。
古い建物だったが、家賃の安さに惹かれて即決。
しかし、住み始めて数日後から、奇妙なことが起きた。
夜になると、誰もいないはずの部屋で足音がする。
浴室の鏡には手形の跡が浮かぶ。
ドアノブが勝手にカタカタと動き出す。
恐怖に駆られ、翔はスマホで検索を始めた。
「心霊現象 対処法」
【ネットで見つけた対処法】
検索すると、さまざまな方法がヒットした。
「塩を盛る」
「お経を流す」
「霊に話しかけず無視する」
翔は半信半疑ながら、塩を盛り、お経の音源を流し、徹底的に無視を決め込んだ。
すると数日、怪異はパタリと収まった。
（やっぱネットの知恵って役に立つんだな……）
そう思った矢先、見知らぬ番号からの電話が鳴った。
【警告の電話】
スマホの画面には「非通知」。
恐る恐る電話に出ると、受話器の向こうから聞き覚えのない低い男の声がした。
「ネットの対処法、間違ってるよ。今、後ろにいる。」
ガチャ、と通話は切れた。
翔は身動きも取れず、背後を振り返る勇気もないまま朝を迎えた。
【本当に正しい対処法】
翌日、仕事帰りに神社で相談すると、神主がこう言った。
「君、間違った対処をしたね。」
本来、塩やお経は準備だけでは不十分。
"帰ってもらう"儀式が必要だという。
しかし翔の部屋では、その後、夜ごとに足音が近づき、ささやき声が耳元で繰り返されるようになった。
「呼んだのは君だよ。帰さないなら、ずっとここにいるよ。」
正しい対処法を知った頃には、もう彼の隣に"何か"が居座ってしまっていた。
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