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いつもの図書館
これは、僕が大学生だった頃に実際に体験した話です。
当時、試験前になると、家では集中できず、大学近くの市立図書館に通っていました。
そこは大きな図書館で、二階には個別席がずらっと並んでいて、平日でも静かな雰囲気が漂っていました。
特に、奥の一番隅の席は人気がなく、静かに勉強できる穴場だったんです。
変な違和感
その日も、朝から図書館にこもって勉強していました。
でも、いつもと違う違和感があった。
・ページをめくるたびに、隣で誰かが同じタイミングで紙をめくる音。
・ペンを走らせると、すぐ隣でもカリカリと何かを書く音。
振り向いても、隣の席には誰もいない。
(隣で誰かが勉強してる気配がする……)
そんな違和感をずっと感じながら、気にしないふりをして集中を続けた。
図書館員の忠告
午後になって休憩を取ろうと、ロビーでコーヒーを飲んでいると、見慣れた図書館員のおばさんに話しかけられた。
「今日は奥の席使ってたんですね。」
「はい。静かでいいですよね。」
すると、おばさんは少し困ったように笑った。
「……あまり長くは使わないほうがいいですよ。」
「え、どうしてですか?」
「……昔、あの席で亡くなった学生さんがいてね。
夜遅くまで誰にも気づかれず、朝になっても席にいたそうです。」
冗談交じりかと思ったけど、おばさんは真剣だった。
「それ以来、誰かが隣に座ってるような音がするときは、注意したほうがいいんです。」
本当の隣人
怖くなってその日はすぐ帰ることにした。
荷物をまとめに席に戻ると、さっきまで自分しかいなかったはずの隣の席に、
小さなノートと黒いペンだけが置かれていた。
ノートをそっと覗くと、そこには鉛筆でこう書かれていた。
「また、隣に座ってくれる?」
怖くて、荷物もそこそこに図書館を飛び出した。
以来、あの図書館の二階の奥には、二度と近づいていない。
その後
数ヶ月後、ふと思い立って図書館に寄ったとき。
張り紙が目に入った。
『二階奥の席は、設備不良のため利用を中止します』
誰かが苦情でも入れたのだろうか。
それとも、あの席では、まだ静かに誰かを待っている誰かがいるのかもしれない。
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