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ビル清掃の夜勤
これは、私が都内のオフィスビルで夜間清掃のバイトをしていたときに体験した話です。
そのビルは地上10階・地下2階の比較的新しいビルで、夜の9時から朝5時までが私たち清掃員の作業時間でした。
エレベーターで各階を回りながら、デスクのゴミを回収したり、トイレを磨いたりするルーティン。
夜のビルは、慣れれば静かで集中できる良い現場……のはずでした。
9階の異変
異変が起こり始めたのは、9階を担当していた週からです。
この階は小規模なコンサル会社が入っていて、平日は社員が10人程度、夜は誰も残っていないはずでした。
でも、私が9階に上がるといつも、デスクの上に熱いコーヒーの匂いが残っていたり、プリンターが印刷途中で止まっていたりしたんです。
「……誰か残ってた?」
そう思っても、人影を見かけることは一度もありませんでした。
監視カメラに映ったもの
ある日、清掃リーダーが言いました。
「9階、カメラで誰かが歩いてるんだよ。でも警備員が確認しに行っても、誰もいない。」
リーダーと一緒に防犯モニターの映像を確認すると、
午前3時半過ぎ、9階の会議室からスーツ姿の男が出てきて、廊下を歩いている。
でも、フレームが変わるたびに、少しずつ“服の色”が暗くなっていく。
最後は全身が真っ黒になり、廊下の奥でぼんやりと溶けるように消えた。
清掃中の遭遇
翌週。
9階の給湯室でコップを洗っていたら、背後から「……お疲れ様です」と小さな声がした。
振り返っても、誰もいない。
廊下に出ると、会議室のドアがゆっくり閉まりかけていた。
怖くなって逃げ出した私を、警備員が玄関ロビーで見つけてくれた。
そのとき警備員がぼそっと言った。
「……9階、昔この時間に会議中に倒れて亡くなった社員さんがいるって聞いたよ。」
清掃員の引き継ぎノート
清掃員には、日々の出来事を記録する「清掃報告ノート」がある。
私は、9階での体験を一切書かずに終えたが、ある夜、何気なく前任者のページをめくると、こう書かれていた。
「9階の会議室、午前3時すぎに入らないように。
毎回“お疲れ様です”と挨拶してくる誰かがいるから。」
私はその日を最後に、9階の清掃担当から外してもらった。
今でも、午前3時になると、あの会議室から「誰か」が出てくるのだろうか。
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