目次
引っ越し先での違和感
これは、数年前に私が経験した実話です。
都内で一人暮らしを始めるにあたり、格安の賃貸物件を見つけて引っ越しました。
駅からも近くて便利だったのですが、最初の夜から妙な音に気づきました。
壁の中から、かすかな「ミャァ……」という猫の鳴き声が聞こえるんです。
夜中、部屋が静まり返ると、とくにそれがはっきり聞こえてくる。
「どこかに猫が迷い込んでるのかな」と最初は思っていました。
上階の住人に聞いてみた
同じアパートの上の階に住む年配の女性に挨拶をした際、その話をしてみました。
すると彼女は、急に顔を曇らせてこう言いました。
「ああ……あの鳴き声、まだ聞こえるのね……」
「え?」
「前に住んでた人も言ってたの。でも……壁の中には、何もいないのよ。」
壁を調べると
それでも気になって、自分で壁をノックして調べてみました。
すると、寝室の一角だけ音が鈍く響く場所があった。
そこに耳を当てると、まるですぐ向こうにいるかのように、はっきりと猫の声が聞こえた。
「ミャァ……」
「ゴロゴロ……」
でも、その猫の声が——ずっと同じリズムで、同じ間隔で繰り返されているのです。
まるで録音でもしたように。
大家の話
たまらず大家さんに連絡を取り、過去にこの部屋で何かあったのかを聞きました。
少し沈黙の後、大家さんは重い口を開きました。
「……実は5年前、この部屋に住んでた方が、猫を飼っていてね。引っ越す直前に、その猫がいなくなったそうなんだ。」
「……それが……その後のリフォーム中、壁の中から白骨化した猫の遺体が見つかってね。」
「でも、それはちゃんと供養もしたし……」
鳴き声の正体
その話を聞いた夜、また壁の中から猫の声がした。
だが、今度はその鳴き声に、別の音が混ざっていた。
小さな声で、誰かが囁いている。
「さむいよ……くらいよ……どこ……」
翌朝、壁の鈍い音のしていた部分に黒い染みがにじみ出ていた。
私はすぐに引っ越した。
でも、夜になると今でも、耳の奥であの猫の鳴き声がよみがえる。
壁の中の猫は、まだ“誰か”を探しているのかもしれない。
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