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不思議な鉢植え
これは数年前、僕が引っ越したばかりの賃貸アパートで体験した実話です。
その部屋には、前の住人が置いていったと思われる小さな鉢植えがベランダの隅にありました。
枯れかけていたけれど、まだ完全に死んではいなかったので、なんとなく捨てるのも忍びなく、部屋の中で育てることにしたんです。
後で調べたところ、その植物は「弟切草(おとぎりそう)」という名のハーブでした。
民間伝承では傷に効く薬草とも言われるけれど、同時に「裏切りや怨念の象徴」としても知られているらしい。
当時の僕はそういう話に無頓着で、「変な名前だな」くらいにしか思っていませんでした。
枯れるたびに起きること
世話をしているうちに、弟切草は意外と元気になってきて、
しばらくは特に異変もなかったんですが──
ある晩、残業で遅く帰ってきたときのこと。
部屋に入った瞬間、「……しんじてたのに」というかすれた声が、耳元ではっきり聞こえたんです。
驚いて部屋中を確認しましたが、もちろん誰もいない。
テレビもスマホもオフのまま。
そしてふと、弟切草に目をやると、完全にしおれて枯れていた。
不思議に思って水をやると、2日後にはまた元気になりました。
忘れた頃に、また
その後も、不規則に枯れるたびに声がするようになったんです。
・「返して……」
・「また裏切ったの?」
・「見てるよ……」
最初は夢か幻聴かと思っていました。
でも決まって、弟切草がしおれている時にだけ聞こえる。
気味が悪くなって園芸店で相談したら、店主の女性が表情を曇らせてこう言いました。
「それ、もともと誰かが“念を込めて育ててた”ものじゃないですかね。
弟切草って、恨みを伝える媒介に使われるっていう話、聞いたことありますよ。」
捨てるという選択
その日、鉢植えを、粗大ごみとして出すことにしました。
しかし、深夜。
ベランダの窓を誰かがコツ……コツ……とノックする音で目が覚めました。
カーテンの向こうには誰もいない。
翌朝、部屋の床に、湿った弟切草の葉が数枚落ちていた。
その日から、僕の部屋では植物がまったく育たなくなりました。
今でも
あれ以来、植物は置かないようにしています。
でもたまに、夜中にふと目が覚めると、どこからかあの声が聞こえる気がします。
「また……枯らしたね。」
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