目次
【実家のガラス棚の奥にあった人形】
これは、私が大学を卒業してすぐ、実家にしばらく戻っていた頃の話です。
ある日、久しぶりに掃除をしていた母が、リビングの古いガラス棚の奥からアンティークドールを見つけました。
「これ、おばあちゃんが昔フランス旅行で買ってきたやつらしいわよ」
淡いピンクのドレスに、ガラスのような青い瞳。
どこか寂しげで、でも妙に“こちらを見ている”感じがする顔。
それを見た瞬間、私はなぜか軽い吐き気と寒気を覚えました。
【夜ごと変わる人形の向き】
母は「せっかくだから飾ろうかしら」と言って、棚の中央にその人形を置きました。
その夜、私はリビング横の和室で寝ていたのですが、
夜中にふと目を覚ますと、ガラス越しに人形の目と合った気がしたんです。
昼間は、たしかに真正面を向いていたはずの人形が、
少しだけ顔を右に傾けて、こっちを見ている。
気のせいかと思いながらも、翌朝棚を見ると、元の向きに戻っていました。
でも、次の夜も、
そしてその次の夜も——
人形の顔は、少しずつ、確実に私の方へ向いていた。
【カメラを設置してみた】
本当に気味が悪くなった私は、スマホを簡易スタンドに立てて、
寝ている間の棚を動画で撮影してみることにしました。
翌朝、再生した映像には、深夜2時すぎ。
誰もいないはずのリビングで、
人形の頭が、ゆっくりと“こちらに向かって回る”様子が映っていました。
音もなく、ただ首だけが少しずつ、自然には動かない角度で。
【専門家の言葉】
怖くなった私は、古物に詳しい知り合いに連絡をとり、
その人形の写真と動画を見せました。
しばらく沈黙した後、彼はこう言いました。
「これ、戦前のフレンチビスクドールですね。コレクターも多いけど……この顔、ちょっと不自然だ。
人形の瞳が“人間のガラス義眼”を使ってるタイプかもしれない。」
「その場合、“魂が宿る”って考えられていて……」
私はすぐに話を止め、母に頼んで人形を片付けてもらいました。
【人形は“見ていた”】
それ以来、人形は押し入れの奥にしまわれ、私は別の部屋で寝るようにしました。
ただ、最後に棚を掃除したとき、私はガラス棚の底の裏側に、爪でひっかいたような文字を見つけました。
「みているよ」
鏡面反転して彫られていたその文字は、中からでしか見えない位置に書かれていました。
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