目次
【突然、景色が“切り替わった”】
これは、去年の夏、友人とドライブに出かけたときの話です。
山間部の道を走っていたのですが、途中でナビが狂い始め、
「目的地まであと7分」と表示されながら、見覚えのない細い農道に案内されました。
「たぶん旧道かな」と、特に疑問も抱かず進むと、
突然、周囲の景色が一変したんです。
山はあったはずなのに、急に開けた平地になり、
田んぼのような地面が一面に広がっていました。
ただ、それは普通の田園風景とは明らかに違っていた。
【“人の形をした何か”が立ち尽くしていた】
草一本生えていない地面に、
等間隔に並ぶ、無数の人影のようなものが立っていたんです。
全部、まっすぐ立って、こっちを向いている。
動かない、でも“人”にしか見えない。
そして、空がやけに灰色がかった薄い緑色をしていた。
遠くの空と地面の境界が曖昧で、景色全体が“描きかけ”のようだった。
「なにこれ……? さっきまで晴れてたよな?」と友人がつぶやく。
私は声が出なかった。ただその風景が、
現実のものとは思えないのに、異様なリアリティがあった。
【風景の中の“何か”が動いた】
しばらく車を止めてその風景を眺めて、スマホを取り出し写真や動画を撮っていると、
人影の一体が、首をかしげた。
その瞬間、車のナビが「再ルートを開始します」としゃべり出した。
同時に、耳鳴りのような高音が車内に響き、
ハンドルがほんのわずかに勝手に動いた感覚があった。
そして——
次の瞬間には、いつもの山道に戻っていた。
【記録は残っていない】
慌ててスマホのカメラを確認したが、
あの間だけ、写真も動画も何も撮れていなかった。
撮ったはずの動画フォルダには、容量のないファイルが1つだけ残っていた。
再生しようとしても「再生できません」と表示される。
ただ、ファイル名が自動でこう記録されていた。
「NO_IMAGE_20230806_13:44」
まさに、あの“風景”を見ていた時間だった。
【似た場所が存在しなかった】
帰ってから、地図や航空写真であの場所を何度も確認したが、
あの風景に似た地形や平地は存在していなかった。
その道を通ったという記録も、スマホのGPSログには残っていない。
だけど私は、今でもあのとき見た不気味な風景を忘れられない。
無数の“人影”と、どこまでも続くグレーと緑の空。
あれが幻覚だったのか、それとも違う世界の風景だったのか——
今となっては確かめる術もない。
ただ一つ確かなのは、
あの時、私たちは“この世界とは別の景色”を見ていた。
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