これは私が高校生の頃、部活動の帰り道に体験した、今でも説明がつかない記憶です。
何が起きたのか、どうして自分だけが気づいてしまったのか、答えはわからないままです。
ただ、「あの空の色だけは見てはいけなかった」と、今でも確信しています。
目次
【1. 夕焼けにしては奇妙すぎた空】
秋の終わり、部活を終えて校門を出たのは午後5時半過ぎ。
日が短くなったとはいえ、空はまだほんのり明るく、町全体が夕暮れ色に包まれていました。
でもその日は違った。空全体が――異常なまでに濃いオレンジ色だったんです。
オレンジというより、ほとんど発光するような朱色。空一面が均等に染まっていて、雲ひとつなかった。
「何か……変だ」
その場にいた友達も同じ空を見ていたはずなのに、誰も異変を口にしない。
【2. 音が消えた】
歩き出してしばらくすると、妙なことに気づきました。
音が、まったくしない。
車の通る音も、自転車のベルも、風の音すらも。
まるで世界から「音」が抜け落ちたように、空気が不自然な静けさに包まれていました。
後ろを振り返ると、通学路にいたはずの生徒たちが、一人もいなくなっていた。
【3. 交差点の“向こう側”】
家までの道の途中にある、大きな交差点。
信号は赤だったが、なぜか車は一台も通っていない。
ぼーっと立っていた時、ふと、向かい側の歩道にもう一人の自分が立っているのが見えた。
制服も、カバンも、髪型もまったく同じ。
でも、こちらをじっと見つめて微動だにしない。
その瞬間、「渡ってはいけない」と直感しました。
あの“自分”は、自分ではない――何か、向こう側の世界の住人だと、はっきりわかった。
信号が青に変わった瞬間、“それ”が一歩、こちらに足を踏み出した。
私は全力で背を向けて走りました。
【4. 空が戻る】
走って数分、ふと立ち止まって空を見上げたとき、
空はもういつもの夕暮れに戻っていました。
ザワザワと木々が揺れ、犬の鳴き声も遠くから聞こえる。
さっきまでの「音のない世界」はどこかへ消えていた。
でもそれ以来、あの交差点は通れなくなった。
どうしても、“向こう側”とつながっている気がしてならないから。
今も、季節の変わり目になると時折、あの日と似た異常なオレンジ色の空を見ることがあります。
その度に、あのときの“もう一人の自分”がまだ、あの交差点で待っている気がして、足がすくむのです。
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