あれはつい先月のことでした。
夜、部屋でテレビをぼんやりと眺めていた時、CMの中で小学校低学年くらいの男の子が手を引かれて、山道を歩くシーンが映ったんです。
その映像を見た瞬間――
ものすごい嫌な感覚とともに、記憶の奥底に何かがぶわっと浮かび上がってきました。
目次
【1. 思い出した“山道”の風景】
何かを思い出しそうで、頭の奥がじんじんと痺れるような感覚。
気づけば私は、ぼーっとしながらも、その映像の中の“山道”と、そっくりな場所を歩いていた記憶を思い出していました。
自分は小さかった。
たぶん5歳か6歳。誰かの手を握って歩いていた。でもその“誰か”の顔は、どうしても思い出せない。
山道は細く、誰にも会わなかった。
途中、小さな祠のようなものの前で立ち止まり、何かを入れた記憶がある。
それが“何か”は、どうしても思い出せないのに、喉の奥がぎゅっと詰まるような気持ち悪さだけが強く残っている。
【2. 奇妙すぎる詳細記憶】
その山道は、木の根がむき出しになった斜面のある場所で、途中、丸太を横に渡した橋を渡った。
「この橋を渡ると、もう戻れないよ」と誰かが言った。
でも、僕はその橋を渡った。手を引かれていたのに、途中で手を離して一人で歩いた記憶。
祠のそばには、小さな石がたくさん積まれていて、奥から何かを引きずるような音がしていた。
——そして、そこまで思い出したとき、急に怖くなって、それ以上は思い出さないようにと意識が防衛反応を起こした。
【3. 思い出せない“それから”】
問題は、その記憶の“あと”がまったくないことです。
祠の前の場面までは鮮明にあるのに、家に帰った記憶も、誰といたのかも、なぜそんなところにいたのかも全くない。
でも、それよりもっと恐ろしいのは、今まで一度も思い出したことがなかったという事実でした。
こんなに鮮明に覚えていた出来事を、どうしてこれまで完全に忘れていたのか?
思い出すべきじゃなかったのかもしれない――
そう思った瞬間、急に、鼻の奥で土の匂いがしたような気がしました。
【4. あれは夢だったのか】
今は、もうその映像のCMも流れていません。
あの“山道”に似た景色を見るたび、少し頭が痛くなります。
ただ、あの記憶が本当にあったことなのか、今となってはよく分かりません。
きっと――あれはただの夢だったんだと思います。
そうでなければ、私は今、ここにいないのかもしれませんから。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

