目次
安く借りられた理由
これは、大学2年の春、実際に僕が体験した話です。
新しい下宿先を探していたとき、条件の良いワンルームを見つけました。
最寄り駅から徒歩7分、家賃は相場より2万円安い。内見も済ませて即決しました。
「ちょっと不思議なつくりだけど、気にしないでください」と不動産屋に言われたのは、
押し入れの裏に小さな“通気口のような窓”があることでした。
ただ、壁で覆われていて開け閉めはできず、特に気にせず住み始めたんです。
夜だけ違う
住み始めてからしばらくは何もありませんでした。
異変を感じたのは、夜中にふと目が覚めて、スマホを見ようとしたとき。
時計は2:03 AM。
部屋の空気が変でした。
気温は変わらないのに、肌がぞわっとする冷たさがある。
そして押し入れの裏側──あの“通気口のような窓”の方向から、
ひそひそと話し声のような音が聞こえてきた。
耳を澄ますと、何語ともつかない低い囁き声が、絶え間なく続いていた。
向こうから見られている
それから毎晩、深夜2時を過ぎると、必ず音がするようになった。
日中は何もないのに、決まって真夜中になるとその“向こう”とつながるような感覚がある。
ある日、耐えきれずに押し入れの裏に耳を当てた瞬間、「こちらからも見えているよ」と、はっきりした声がした。
慌てて飛び起きたけれど、そのあともずっと、誰かが見ているような感覚は消えなかった。
引っ越しの前夜
怖くなって、1ヶ月も経たないうちに引っ越すことを決めました。
最後の夜、寝る前にふと“通気口の窓”の方を見ると、
初めてその中がぼんやりと赤く光って見えました。
そして中に、誰かがこっちを覗いている目があるのがわかりました。
光っていたのは、その目の奥だったんです。
そのとき、また声が聞こえた。
「もう少しで、つながれたのに」
今でも夢に見る
その部屋はもう手放しましたが、
今でもたまに夢の中で、押し入れの裏から覗かれる夢を見ます。
誰かがあの“窓”から、ずっと僕を探している気がしてなりません。
「一度でも目を合わせたら、完全にこちら側に引き込まれる」
そんな感覚が、ずっと頭の隅に残っています。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

