目次
見つけたのは偶然だった
これは、僕が中学1年の夏休みに体験した話です。
当時、祖母の家に泊まりに行った際、夕方の散歩中に見つけたんです。
駅から離れた住宅街の裏手、草が茂る細い路地の先に、ポツンと小さな駄菓子屋がありました。
木造の平屋で、看板には薄れて読みにくい文字で「まつや」と書かれていたと思います。
でも、それまで何度もその道を通っていたのに、一度も見たことがなかった。
不思議に思いながらも、懐かしさと興味で店に入ってみたんです。
昭和そのままの空間
中は、まるで昭和のまま時が止まったような世界でした。
ベビースター、10円ガム、きなこ棒……。どれも今では見かけないパッケージばかり。
レジ奥には、小さなストーブと丸椅子、そして無表情の老婆が一人。
「いらっしゃい」
低い声でそう言ったあと、老婆はほとんど動かず、ただ僕を見ていました。
僕は、懐かしさに任せていくつかのお菓子を選び、テーブルの上に置きました。
全部で60円分。
ポケットから100円玉を出そうとしたその瞬間、老婆が突然こう言ったんです。
「小銭じゃないの。何か、あなたの“時間”をもらうよ。」
店を出た後の異変
その言葉に戸惑いつつも、空気が妙に重くて、何も言い返せずうなずいてしまいました。
店を出ると、空が急に暗くなっていました。
家に帰ると、祖母が血相を変えて言いました。
「どこ行ってたの!? 朝からずっと帰ってこなかったじゃない!」
僕にとっては、ほんの30分程度の出来事。
でも時計は翌日の午前2時を指していました。
しかも、ポケットに入っていたはずのお菓子は、どれも包装が朽ちていて、袋の中にはただの粉が入っているだけだった。
駄菓子屋は、なかった
翌日、祖母の家の周辺を何度も歩いてみました。
でも、あの駄菓子屋はどこにも見当たりません。
「まつや?そんな駄菓子屋、昔はあったけど……30年前に火事で焼けてね」
近所の人がそう教えてくれました。
その火事で、店主だった老婆が亡くなったのだとか。
焼け跡はすでに住宅になっており、あの細道も存在しませんでした。
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